経済・港湾委員会で質疑に立ちました(産業労働局編)
2月19日 からはじまった都議会 第一回定例会もいよいよ終盤戦。常任委員会での審議が始まりました。昨日は私も所属する経済・港湾委員会で質疑に立ち産業労働局の事業について質問しました。
質問の内容は大きく分けて二つ。
前半はスタートアップ企業や社会起業家といった新しいビジネス分野に挑戦するみなさんをどうやって支援するかというお話。また既存の中小企業においても 「第二創業」という取り組みが注目されていますが、その支援についても質問しています。
後半は東京都の観光振興についてです。港区にも増上寺をはじめ 江戸時代の重要な文化財がありますがもっと観光に活用していこうよ、というお話。そしてデジタル技術やオープンデータを使って観光産業の 業務効率化をすすめたりデータ分析をできるようにしようという質問をしました。
Q1.スタートアップの成長に向けた採用・組織構築支援について
東京の経済、そして日本全体の経済をさらに活性化していくためには、新しいビジネスや革新的な挑戦を続けるスタートアップ企業を、しっかりと後押しする仕組みが重要です。特に、多くのスタートアップが人材確保に苦戦している現状があります。「採用を人脈だけに頼っている」「必要なタイミングで必要な人材を採用できない」「採用しても定着しない」といった課題がスタートアップの成長を阻害している、という声もよく耳にします。そこで、都として、スタートアップ企業が抱えるこうした人材面での課題をどのように支援していくのか、来年度の取り組みについて質問しました。
産業労働局の商工部長からは、
〇来年度から、多くのスタートアップが経営課題として認識している「採用・組織構築」の課題解決に向け、新たな取組を実施する。
〇具体的には、スタートアップの成長段階や事業の内容ごとに異なる「求める人材の専門性・経歴」などを踏まえ、それらにマッチした人材との交流イベントを年25回開催する。
〇また、採用計画の策定支援や採用後の人事制度の構築等に課題を抱えるスタートアップを対象に、それぞれの企業に合わせた個別の支援プログラムを展開する(20社)。
との具体的な答弁がありました。
スタートアップ企業の支援において、事業計画のブラッシュアップやマーケティング支援など、これまで東京都が力を入れてきた施策に加えて、「人材採用・組織構築」支援を強化することは非常に重要です。企業が成長するうえで「人材」は最大の財産です。都にはぜひ、こうした取り組みを今後しっかりと進めてもらいたいと思います。
Q2.事業承継を契機とした「第二創業」支援事業について
本定例会の一般質問で、わが会派の星議員が「事業承継を契機とした『第二創業』への支援」について質問しました。
事業承継を単なる引き継ぎとせず、新たな取組への挑戦(第二創業)の機会と捉える中小企業が増えています。民間調査でも、承継をきっかけに新たな取り組みを行った企業の約7割が売上増加などの成果を得ている一方、「人材やノウハウ不足が課題だ」という声も多く聞かれます。こうした中小企業が第二創業を成功させるためには、スタートアップ企業同様、人材面での具体的支援が必要だと考え、都としての来年度の取組について質問しました。
産業労働局の商工部長はこれに対し、
〇来年度から第二創業経験者等とのコミュニティを立ち上げ、ノウハウ共有の交流イベントを実施(年複数回)
〇第二創業を目指す経営者と、それを支える人材のマッチング支援を新たに開始し、事業承継を契機とした企業の成長を促進する
と答弁しました。
東京経済のさらなる活性化には、新規創業支援だけでなく、第二創業に挑戦する中小企業への支援が不可欠です。今回示された取り組みが、中小企業の新たな成長につながるよう、引き続き後押ししてまいります。
Q3.社会起業家の創出・育成支援事業
東京の経済や社会を活性化させるためには、新たな市場を生み出す「社会起業家」の支援が大変重要です。社会起業家とは、環境問題や子育て支援、貧困対策、介護などの社会課題の解決を目的に起業し、寄付金に頼らず自ら事業収益をあげて活動を継続する起業家です。社会貢献とビジネスの両立を図る点に特徴があります。
昨年の事務事業質疑でも、私は社会的な社会的なインパクトと経済的なリターンの両立を目指す、「社会起業家」について質問しましたが、今年度、都が新しく始めたこの事業には定員20名に対して130名が申し込むほどの大きな反響がありました。しかし、社会起業家は通常のスタートアップと違い、収益化まで時間がかかる場合が多く、事業化や人材面の支援をより一層強化する必要があります。そこで、来年度の東京都の具体的な取組について質問しました。
産業労働局の商工部長はこれに対し、
〇都は今年度から、社会課題解決と経済的リターンの両立を目指す「社会起業家」を育成する事業を開始。大きな反響があった。
〇来年度は、この支援をさらに拡充し、新たに「起業後の事業展開支援プログラム」を開始する。支援対象を今年度の倍の40名に増やす。
〇具体的な内容としては、起業家を補佐する専門人材とのマッチングや、事業化のためのノウハウ共有、起業家間の交流イベントを実施するほか、新規事業立ち上げに必要な経費支援(最大500万円)などを行う。
〇さらに、こうした取組を通じて、社会課題に取り組む起業家への支援の充実を図る。
と答弁しました。
社会起業家が成長し、事業を安定的に運営できる環境を整えることは、東京都の新たな市場創出と社会課題の解決につながります。昨年に引き続き、社会起業家支援をさらに充実させる都の取組をしっかりと後押ししていきます。
Q4. 江戸の文化財を活用した観光振興について
私の地元である港区をはじめ、東京には江戸時代から受け継がれた多くの文化財が存在しています。港区には、徳川家ゆかりの増上寺をはじめとした歴史的な遺産が多数あり、世界の他都市にはない東京ならではの観光資源となっています。こうした江戸文化の魅力を国内外の旅行者に伝えるためには、ただ文化財を見せるだけでなく、その歴史や背景、エピソードなどを加えて説明することが重要です。それにより、観光客の興味や関心がさらに高まり、地域の魅力向上や文化財保護への意識づけにもつながります。
そこで、江戸の文化財を活用した観光振興の取り組みを都としてしっかり支援する必要があると考え、都の方針を尋ねました。
これに対し、観光部長からは、
〇来年度から、江戸の歴史的建造物などの文化財を観光資源として積極的に活用できるよう、地域の取り組みを支援していく。
〇具体的には、地域の観光協会が中心となった協議会を設置し、江戸文化に詳しい専門家のサポートのもと、住民が文化財の価値や歴史を学べるワークショップ等を開催し、地域全体で観光振興への機運を高める。
〇また、文化財の魅力や歴史的ストーリーを分かりやすく伝えるガイドの育成や、地域の文化財をめぐる観光ツアーの企画・実施を地域が主体となって行えるよう支援を行う。
との答弁がありました。
江戸の歴史や文化は、東京の貴重な財産であり、地域の宝でもあります。都として、地域が主体的に江戸の文化財を観光に活用できるような支援を着実に進め、東京の新たな魅力として国内外に発信することをサポートするよう要望しました。
Q5. 中小観光事業者のDX推進支援について
観光業界では深刻な人手不足が続いており、人材の確保とともに業務効率化が喫緊の課題となっています。そのため、デジタル技術の活用はこれらの課題を解決する上で重要な鍵となります。しかし、中小の観光事業者からは、「デジタル技術を取り入れたいが、ノウハウや資金が不足している」「何から手をつけて良いのかわからない」といった声もよく聞かれます。
そこで、中小の観光事業者がデジタル技術を有効に活用していけるよう、東京都として具体的にどのような支援を行っていくのか質問しました。
これに対し、観光部長からは、
〇東京都はこれまでにも、デジタル技術を活用した業務効率化に取り組む中小の観光関連事業者に対して、設備・機器導入費用などへの助成支援を行ってきた。
〇来年度からは、事業者がスムーズにデジタル技術を導入できるよう、観光業界における取組事例に詳しい専門家による新たな支援を実施する。
〇具体的には、事業者から相談を受けて現場の課題を整理し、それを解決するために最適なシステムの導入等の提案を行う。さらに、取組内容に応じた助成金支援につなげるほか、導入後もそのシステムがしっかりと活用されるよう継続的なアドバイスを提供する。
〇また、観光業界でのデジタル技術活用事例を紹介するセミナーを年4回開催し、中小観光事業者による積極的なDX推進の取組を促進していく。
との答弁でした。
観光業界における人手不足への対応は、インバウンド観光客が増加するなかで待ったなしの課題です。東京都には、こうした新たな支援策を通じて、中小観光事業者がデジタル技術の活用に取り組み、業界全体のDX化が着実に進むよう、引き続きしっかりと取り組んでもらいたいと思います。
Q6. データを活用した地域の観光振興について
地域の観光振興を効果的に進めるには、旅行者のニーズや動向を正確に把握し、それに基づいた戦略的な誘客を図るためのデータ活用が重要です。しかし、観光協会などからは、「データを活用したいがノウハウがない」「データ自体はあるが、分析方法や活用方法がわからない」といった声が寄せられています。
こうしたなか、先日、都の支援事業の成果報告会が開催され、私の地元である港区の観光協会も参加しました。港区では、訪問者がどこから来て、区内のどの場所を訪れているかなどのデータを正確に把握できたことから、今後も積極的にデータを活用し、観光振興につなげていきたいとの発表がありました。
このように、データ活用への関心が高まっている観光協会などに対して、都として引き続き支援を着実に進めるべきと考え、その見解を質問しました。
これに対し、観光部長からは、
〇東京都では、区市町村や観光協会などが連携して、旅行者の周遊促進や消費拡大につながるデータ活用の取組をサポートしている。
〇具体的には、令和5年度から毎年3地域を選定し、データマーケティングの専門家を派遣して、データの収集・分析から課題解決策の実行、効果検証までのサイクルを2か年にわたり伴走支援している。
〇さらに来年度は、観光分野におけるデータ活用への関心を一層高めるため、先進的な事例を紹介するセミナーを年2回開催するとともに、オープンデータを活用した分析を体験できるワークショップなども新たに実施する。
との具体的な答弁がありました。
このデータ活用事業は、2年間にわたり手厚い伴走型の支援を受けられるため、十分な人員体制が整っていない観光協会などにとっては非常に心強い支援になっています。来年度から実施されるセミナーなどを通じて地域の取組をさらに促進し、観光分野でのデータの有効活用が一層進むよう、東京都には引き続きしっかりとサポートしてもらいたいと思います。
今日もひきつづき経済・港湾委員会では港湾局と中央卸売市場に対する付託議案審査が行われます。 頑張って参ります!