経済・港湾委員会で質疑に立ちました(港湾局編)
常任委員会での審議も二日目。一昨日に続いて昨日も経済・港湾委員会で質疑に立ち港湾局の事業について質問しました。質問の内容は大きく分けて三つ。
まず東京港におけるコンテナターミナルの機能強化の話。熾烈な国際競争を勝ち抜くために機能強化に抜本的に取り組むべきと考え質疑に臨みました。
続いてはクルーズ船の東京港への寄港ニーズについて、ドタキャンや仮押さえの濫用などによる機会損失を防ぐための新しい制度について尋ねました。
最後は、お台場に住む皆さんからの強い要望を受けて、お台場海浜公園のリニューアルについての質問を行い、地域の声をしっかり受け止めて進めるよう都に強く求めました。
東京港のコンテナターミナル機能強化について
東京港は、日本の経済と物流を支える重要な拠点ですが、世界の主要港と比較したとき今後の競争力強化が不可欠です。世界では、国際競争を勝ち抜くためにコンテナターミナルへの大規模な投資が進められています。この流れに遅れを取らないためにも、東京港のコンテナターミナルの機能強化が喫緊の課題となっています。
そのような中、先日「Tokyo Container Vision 2050」の素案が委員会に報告され、東京港の主力ふ頭である大井コンテナふ頭の再編整備が重要な戦略の一つとして位置付けられています。そこで私は、最初に大井コンテナふ頭の現状と課題について確認しました。
答弁では、次のような点が挙げられました。
〇 大井コンテナふ頭は、北米や欧州など多様な航路が就航しており、東京港のコンテナ貨物の約半数を取り扱う主力ふ頭である
〇 しかし、国内外の主要港と比較すると、取扱貨物量に対してターミナルの面積が狭く、その結果としてゲート前で交通混雑が発生している。ターミナルの拡張やオペレーションの効率化による施設能力の向上が求められている。
〇 また、現在グリーン電力の活用などによるCO2排出削減に取り組んでいるものの、ゼロエミッションの実現に向けては更なる対策が必要である。
先のわが会派の代表質問では、ここで述べられた大井コンテナふ頭の現状を踏まえ、大胆な機能強化を進めるべきと主張したところ、東京都からは再編整備を戦略的に進め、ふ頭を大規模にリニューアルしていくとの答弁がありました。そこでその質問を一歩進め、再編整備をどのように進めていくのか、具体的な方向性について質問しました。
港湾局からの答弁は以下のとおりです。
〇 都は昨年3月、東京港埠頭株式会社およびターミナル借受者との間で、大井コンテナふ頭を再編整備する方向で合意し、具体的な検討を進めている。
〇 また、本年1月に公表した「TokyoContainer Vision 2050」の素案において、以下の3つの基本方針を掲げ、既存ふ頭の再編整備を行うこととしている。
① コンテナターミナルの拡張
② 最先端荷役機械の導入等によるDXの推進
③ 水素やグリーン電力を活用した脱炭素化の推進〇 今後、関係者との協議を経て、具体的な整備内容を決定する。
基本方針にある「DXの推進」や「脱炭素化」を進めていくには、海外の主要港で導入されている最新鋭の荷役機械や設備、システムを積極的に取り入れていく必要があります。そのためには港湾運送事業者や船会社などの意見を丁寧に聞き取ることに加え、世界の主要港におけるDXの取組なども参考にしながら、再編整備の検討を進めていくことが重要です。そこで、大井コンテナふ頭の再編整備の実施に向けた現在の取組状況について質問しました。
港湾局の答弁は以下のとおりです。
〇 都は現在、大井コンテナふ頭の再編整備に向け、ふ頭を利用している船会社や港湾運送事業者、東京港埠頭株式会社との間で、整備内容等について検討を進めている。
〇 具体的には、ふ頭の拡張を視野に入れながら、管理棟やゲート、コンテナ蔵置スペースの最適な位置や規模について検討するとともに、今後導入する荷役機械などについて関係者と意見交換を行っている。
〇 また、欧米やアジアなどの主要港における最先端の荷役機械を活用したオペレーションの状況や、脱炭素化に関する先進的な取組について現地調査を実施している。
現在、関係者との意見交換や海外の先進事例の調査が進められていることが確認できましたが一刻も早い再編整備の着手に向け、こうした取組を着実に進めていくことが求められます。
さて答弁で「ふ頭の拡張」という言及がありましたが、東京都は、わが会派が指摘した「大井コンテナふ頭の奥行きの狭さと、それに伴う背後地の拡張の必要性」を踏まえ、来年度の予算案において、ターミナルに隣接する用地の取得費など698億円を計上しています。
ふ頭背後地の活用方法については、関係者との協議を経て決定されることになりますが、積年の課題であるふ頭周辺の交通混雑は、物流効率の低下やコスト増を招き、結果として国内企業の競争力を損なう要因にもなりかねません。こうした問題を早急に解決する必要があると考え、取得したふ頭背後の民間所有地をどのように活用していくのか、東京都の見解を伺いました。
〇 都は現在、大井コンテナふ頭の再編整備に向け、ふ頭を利用している船会社や港湾運送事業者、東京港埠頭株式会社との間で、整備内容等について検討を進めている。
〇 具体的には、ふ頭の拡張を視野に入れながら、管理棟やゲート、コンテナ蔵置スペースの最適な位置や規模について検討するとともに、今後導入する荷役機械などについて関係者と意見交換を行っている。
〇 また、欧米やアジアなどの主要港における最先端の荷役機械を活用したオペレーションの状況や、脱炭素化に関する先進的な取組について現地調査を実施している。
現在、関係者との意見交換や海外の先進事例の調査が進められていることが確認できましたが一刻も早い再編整備の着手に向け、こうした取組を着実に進めていくことが求められます。
さて答弁で「ふ頭の拡張」という言及がありましたが、東京都は、わが会派が指摘した「大井コンテナふ頭の奥行きの狭さと、それに伴う背後地の拡張の必要性」を踏まえ、来年度の予算案において、ターミナルに隣接する用地の取得費など698億円を計上しています。
ふ頭背後地の活用方法については、関係者との協議を経て決定されることになりますが、積年の課題であるふ頭周辺の交通混雑は、物流効率の低下やコスト増を招き、結果として国内企業の競争力を損なう要因にもなりかねません。こうした問題を早急に解決する必要があると考え、取得したふ頭背後の民間所有地をどのように活用していくのか、東京都の見解を伺いました。
〇 大井コンテナふ頭の再編整備に当たっては、ターミナルのオペレーションの効率化を図ることなどにより、ふ頭周辺の交通混雑を解消していくことが重要であると認識。
〇 このため、新たに取得する土地などを活用し、ターミナルを拡張するとともに、コンテナの蔵置スペースを増加させ、最先端の荷役機械を導入することでオペレーションの効率化を図る。
〇 また、現在ターミナルから離れた場所にある車両待機場を、ターミナルに隣接する場所へ移転させることで、円滑な車両動線を確保。
〇 こうした取組により、大井コンテナふ頭を世界トップクラスの効率性を備えたターミナルへリニューアルすることを目指す。
今回の再編整備を好機として、取得した背後地を有効に活用し、長年の課題である混雑解消を図るべきと要望をいたしました。
今回取り上げた大井コンテナふ頭の再編整備は、東京港の将来を左右する重要な課題であり、その成否は東京港の国際競争力に大きく影響します。ふ頭を最先端技術を駆使したターミナルへリニューアルするためには、DXや脱炭素化の推進が不可欠であり、こうした取組には多額の投資が必要となります。
大井コンテナふ頭の将来を見据え、東京都が主導して、世界トップクラスの港湾を実現するための確実な施策を進めていくことを強く求めました。
増加する寄港ニーズの対応について
近年、日本への訪日観光客は大幅に増加しており、令和6年の年間訪日者数は3,600万人を超え、過去最高を更新しました。クルーズ業界においても同様の傾向が見られ、訪日クルーズ旅客数は前年比約4倍の144万人と大幅に増加し、東京港へのクルーズ客船の寄港数も順調に伸びています。
東京の観光振興を進める上で、多くの国内外の人々が利用するクルーズ客船の誘致は極めて重要です。わが会派はこれまでも、東京港におけるクルーズ客船の受け入れを積極的に進めるべきと主張してきました。
東京都は、昨年の事務事業質疑において、東京港へ寄港したいというクルーズ客船のニーズに応えるため、予約制度の見直しを行うと答弁しており、昨年末にはその内容をクルーズ関係者向けに周知したと聞いています。そこでまず、より多くのクルーズ客船を受け入れるためのポイントとなる予約制度について確認しました。
東京都からの答弁は以下のとおりです。
〇 東京港の施設を効率的かつ効果的に活用し、より多くのクルーズ客船の寄港ニーズに応えるため、予約制度の見直しを行った。
〇 従来は、予約の対象期間や回数に制限を設けず、先着順で受け付けていたが、見直し後は、予約受付を「3年先まで」とし、さらに3年先の予約に対しては審査制度を導入。
〇 例えば、本年4月に受け付けられるのは、令和10年12月31日までの予約とし、令和10年1月1日~12月31日までの予約については、複数の船社で希望日が重複した場合、以下の観点から総合的に審査し、評価の高い船社の予約を優先的に受け付ける仕組みを構築。
– 賑わい創出効果
– 東京都の施策への貢献
– 寄港の確実性 など〇 また、予約可能回数に上限を設けるとともに、予約のキャンセルに関する制限についても見直しを行うこととした。
クルーズ需要が高まる中、3年先の予約については、東京港への貢献や寄港の実現性が高いクルーズ客船を優先的に受け付ける制度へ転換していくことは、限られた港湾施設を効率的に活用するうえで合理的なものだと考えます。
以前の質疑によると、特定のクルーズ船社が多数の日程を予約し、その後大量にキャンセルする事例があったことが、東京都が予約制度を見直すきっかけの一つになったとのことでした。そこで新たな予約制度の中での具体的なキャンセル対策について確認しました。
港湾局によると
〇 クルーズ客船の予約は、入港予定日の1年半から2年前に受け付けることが多いという実態を踏まえ、新たな予約制度では、入港予定日から2年を切った段階でのキャンセルに対しペナルティを設けることにした。
〇 これにより、入港予定がなくなった場合の早期キャンセルを促し、キャンセルが発生した日程について、他のクルーズ船社が予約できるようにした。
〇 また、外国籍のクルーズ客船は、船舶法に基づくカボタージュ規制により、1航海の中で最低1回、海外の港へ入港する必要がある。この規制を踏まえ、現実的に寄港可能な日数を基に、年間寄港上限数を30回と設定した。
これまでの予約制度では、特定のクルーズ船社が多くの日程を押さえた後に大量キャンセル(いわゆるドタキャン)を行うことで、東京港の施設が十分に活用されないという問題が発生していました。こうした仮押さえの濫用が、クルーズ客船の寄港ニーズに適切に応えられない要因の一つとなっていました。
今回の予約制度の見直しでは、2年を切った段階でのキャンセルにペナルティを設け、早期キャンセルを促すことで、他の船社が適切に予約できる仕組みが整えられています。また、年間寄港上限数を30回に設定することで、より公平な予約の分配が図られることになりました。これにより、東京港の施設をより効率的に活用できる環境が整備されることがわかりました。
しかし、制度を厳格にする一方で、クルーズ船社などの利用者が東京港への寄港をためらうような事態が発生してしまっては本末転倒です。そこで、予約制度の見直しにあたり、東京都が利用者の意見をどのように制度に反映させているのかを確認しました。
しかし、新たな制度の導入により、クルーズ船社などの利用者が東京港への入港をためらうような事態が発生してしまっては本末転倒です。制度の構築にあたっては、利用者にとって使いやすいものとなるよう配慮することが必要だと思いますが東京都がどのように制度に反映させているのか質問しました。
〇 予約制度の見直しにあたり、クルーズ船社などの利用者に対し、東京港の利用状況や現行の予約制度に関する課題についてヒアリングを実施。
〇 具体的には、クルーズ商品の開発に向けた手順や、利用するふ頭を予約するタイミングなどについてヒアリングを行い、現状や要望を把握したうえで制度設計を行った。
〇 今後とも、利用者ニーズの把握に努め、さらに使いやすい制度となるよう不断に見直しを図ることで、増加する寄港ニーズに着実に対応し、世界トップクラスの港湾を実現していく。
新たな予約制度は本年4月から運用が開始されることとなっています。この制度を適切に運用し、一つでも多くの寄港ニーズに応えてもらいたいところです。
近年のクルーズ客船の大型化により、レインボーブリッジを通過できず、東京国際クルーズふ頭にしか寄港できない船舶の数が年々増加しています。実際に、大型クルーズ船の寄港回数は、令和5年には3回だったものが、令和6年には約60回に増加し、さらに令和8年には約90回となる見込みです。すでに予約の重複により寄港ニーズに応えられなかったケースが発生しており、今後さらに増えることが予想されます。

東京国際クルーズターミナル
さらに令和10年度にはオリエンタルランドによるディズニークルーズの就航も予定されており、大型クルーズ客船の東京港への寄港ニーズは、今後ますます拡大していくことが確実です。このような状況を踏まえれば、東京国際クルーズふ頭の処理能力が不足するのは明白であり、これまでもわが会派が繰り返し求めてきた早期の2バース化を進めることが急務です。東京都には、大型クルーズ客船の寄港ニーズの増加に確実に対応できるよう、改めて強く求めました。
お台場海浜公園のリニューアルについて
臨海副都心は、開発から30年が経過し、有明・青海地区での開発が進んだことで、職・住・学・遊のバランスが取れた、東京を代表する街へと成長してきました。私の地元、港区台場地区は開発初期から商業施設やホテルが開業し、臨海副都心の賑わいの中心として大きな役割を果たしてきました。
お台場海浜公園は、その象徴的な施設の一つであり、地元住民や観光客に親しまれている公園です。 レインボーブリッジ越しに都心を見渡す絶景や、都内では貴重な砂浜を有する水辺の環境など、観光資源としてのポテンシャルも非常に高い公園です。
しかし近年、公園の老朽化が進んでおり、都がその都度修繕を行っているものの、住民からは「リニューアルしてほしい」という声が多く上がっているのが現状です。お台場海浜公園のリニューアルが実現すれば、台場地区はもちろん、臨海副都心全体がさらに活気づくことが期待されます。そこで、都に対し、公園のリニューアルに取り組むべきと質問しました。
臨海開発部長はこれに対し、
〇 都はこれまで、賑わいと自然あふれる海辺を目指し、海上公園の整備を進めてきており、お台場海浜公園は、その中でも最初に整備された海上公園の一つである。
〇 開園以来、地域住民の憩いの場として、また臨海副都心を代表する観光スポットとして、多くの人々に親しまれてきた。
〇 令和7年には、海上公園の誕生から50周年という節目を迎えることから、これを契機に、公園の再整備や管理の在り方について検討を進めるため、今年度中を目途に「お台場海浜公園をよくする会」を設置する。
〇 今後、この「よくする会」を活用し、地域住民や進出事業者、地元区、指定管理者など幅広い関係者の意見を伺いながら、公園を訪れる多くの皆様に親しまれるよう、リニューアルに向けた調整を進めていく。
と答弁しました。
東京都は「お台場海浜公園をよくする会」を設置し、公園の利用者や地域住民の意見を幅広く取り入れていく方針を示しました。リニューアルに向けた動きが始まっていることは評価できますが、重要なのは、住民の声をしっかりと受け止め、実際の整備に反映させることです。
お台場海浜公園のリニューアルが、臨海副都心のさらなる発展につながることを期待し、今後も東京都には着実な取組を強く求めていきたいと思います。
二日間にわたり、遅い時間まで議論が続きました。一日休日をはさみ、金曜日も委員会が開催され付託議案審査の決定があります。
令和7年度予算の審議も最終版に差し掛かります。最後まで頑張って参ります。