令和2年 都市整備委員会(3月17日)
令和2年3月17日の都市整備委員会にて、質疑を行いました。
■宅地開発無電柱化パイロット事業について
1.無電柱化の支援による市区町村の負担について
まず、私からは、宅地開発無電柱化パイロット事業についてお伺いしたいと思います。
無電柱化といいますと、小池知事の実績のようにもよくとられますけれども、東京都はこれまで、昭和六十一年度から三十年以上、七期にわたって計画的にこの無電柱化を進めてきたわけであります。
最近では、特にオリンピック招致後は、この二〇二〇年に向かって、センター・コア・エリア内では一〇〇%の無電柱化を目指そうということで、かなり努力されてこられたわけでございます。
そうした結果で、既に地中化率が九六%に達するなど、一定の進捗を図ってきたということは評価しております。
しかし、今後、都内全域でこの無電柱化を進めていくには、やはり都道だけではなくて、区市町村道での整備の推進、これが求められているということは皆様ご承知のとおりであります。
しかし、区市町村道約二万キロを全て都道と同じように電線共同溝方式で整備をするとなりますと、区市町村にとっては大変この整備に要するコストはもちろんのこと、やはり共同溝のその後の維持管理の負担というものが大きなものになってしまう。そして、このことが区市町村道の無電柱化が進みにくい一因ともなっているといわれています。
そこで、来年度予算案にある宅地開発無電柱化パイロット事業は、宅地開発で整備される道路を対象に、無電柱化の支援を行うということでありますけれども、これは電柱をこれ以上ふやさないためにも必要な取り組みだと思います。
そこで、区市町村の負担はどうなるのか伺いたいと思います。
宅地開発無電柱化パイロット事業は、宅地開発におけるモデル的な事業を支援することにより、無電柱化を推進するために解決すべき技術面、制度面の課題を把握し、普及に向けた施策のあり方の検討を進めることを目的とした事業でございます。
無電柱化は、主に電線共同溝方式と単独地中化方式がございますが、電線共同溝は道路施設でありまして、道路管理者が維持管理することから、維持管理に対する負担が大きくなります。
このため、今回のパイロット事業では、単独地中化方式で無電柱化を行う事業を対象とすることにより、区市町村の維持管理の負担軽減につなげてまいります。
2.どのような道路を無電柱化の支援対象にしているのか
区市町村の負担を軽減して、新たな宅地開発からこの無電柱化を普及させて、日常的に区市町村が一生懸命取り組んでいる無電柱化への取り組みの後押しとなるように期待をしたいと思います。
一方で、その開発許可では、区市町村道などの公道だけでなくて、開発地内の私道も多く整備されていると思います。
本事業ではどのような道路を支援の対象としているのか、教えていただきたいと思います。
本事業では、モデルとなる事業の実施を通じて、上下水道やガスなど他の埋設物との調整や、整備後の施設の維持管理など、無電柱化を行う際に解決すべき課題を把握するため、道路管理者の意見を聞くことが重要と考えております。
そのため、原則として、将来区市町村道となる公道を対象としております。
■品川周辺のまちづくりについて
1.品川駅周辺の景観、また空間形成に向けた今後の取組内容について
本事業は、そうした原則で公道を対象としているということですので、その考え方については理解をいたしました。
しかし、先ほど申し上げましたとおり、開発許可では私道も大変多いと思います。私道は民有地であり、電柱の規制をする手段がないことから、どうしても、そこにまた電柱がふえてしまうという懸念があります。ぜひ私道への支援も必要と考えますので、今後の課題としていただきたいと思います。公道、私道の区別なく、全ての道路で無電柱化が進むよう、全力で取り組んでいただきたいと思います。
それでは、次の質問に移ります。
品川周辺のまちづくりに関連して幾つかお聞きしたいと思います。
先週の十四日、ちょっと天気は悪かったんですけれども、山手線第三十番目の駅となる高輪ゲートウェイ駅が誕生いたしました。暫定開業ということですが、初日は大変なにぎわいで、記念切符を買い求める方なども含めて本当に大変な混雑でございました。
翌日の日曜日もそれなりの大勢の方がお見えになったり、家族連れがお見えになったりして、新しい駅を楽しまれたり、将来その駅の周辺に完成するであろうまち、そういったものを想像しながら、いろいろと楽しまれていた様子を拝見いたしました。
残念ながら、新型コロナウイルスの影響がありまして、駅前で予定されていたさまざまなイベント、オリンピックまでの機運醸成イベントなども含めて、しばらくちょっと延期になっておる関係で、きのうあたりからは少し人出が少ないというふうに近所の方からは伺いました。
そこで、暫定開業ではありますけれども、それでもそういった問題がなければ、当面一日の利用者数は二万人を超えると想定されています。大体鶯谷駅ぐらいの規模だそうでございます。品川駅と田町駅の間に、そういったことで新たな人の流れが誕生することになります。
そして、JR東日本が、この駅周辺でこれから進めようとしているオフィスやホテル、商業施設や文化施設などの整備が進む二〇二四年には、さらに一日の利用者が十二万三千人、これは今の恵比寿駅並みの混雑というか、利用者になるということが予想されています。
こうした大きな変貌を遂げる新駅周辺と、二〇二七年のリニア中央新幹線開通なども見据える中で、今後、品川駅そのものや、駅の周辺においてもさまざまなまちづくりや都市基盤整備が進められることになると聞いています。その一つとして、国土交通省が主導する駅前の国道一五号線上の真上にデッキを新設して、商業施設や交通ターミナルを整備するという計画も話題になっています。
まさにそれらをきちんと融合させて、そこに日本の玄関口にふさわしい顔づくりを行っていくことが必要だと思います。
そこで、品川駅周辺の景観、そして空間形成に向けた今後の取り組み内容を伺いたいと思います。
品川駅とその周辺では、品川駅・田町駅周辺まちづくりガイドライン二〇一四に基づき、景観形成や開発整備を一体的に誘導しております。
一方、都市づくりのグランドデザインにおいて、駅とまちが一体となった開発の方向性が示され、また、委員からもご紹介がありましたが、国道一五号上空デッキの事業計画において、駅とまちをつなぐ広場の構想が示されております。
これらも踏まえ、まちづくりガイドラインを今年度末に一部改定し、駅周辺の開発の機会を捉えて積極的にまちの顔づくりを進め、リニア中央新幹線の始発駅にふさわしい景観や空間形成に取り組んでまいります。
2.環状四号線の高輪地区のこれまでの取り組みと今後の予定について
この大きく発展を遂げている品川駅周辺において、今、最大の課題となっているのが、広大な鉄道車両基地によって分断をされた東西をつなぐネットワークが不足しているということであります。
緊急車両なども、現在では通行できる幹線道路がこの高輪ゲートウェイという新駅、また、品川駅の間はもちろんですが、さらに、田町駅に近いところ、また、品川をはるかに超えて、本格的にいえば山手通りに近いところまで行かないと、大型車などは迂回せざるを得ないというような状況であります。
そこで、特に骨格となる幹線道路を強化する環状四号線の早期整備が不可欠となっていますが、高輪区間は高低差があって、山というか台地から国道におりるところがかなり低くなりますので、その高低差があることから単なる平面整備とは異なり、鉄道車両基地を横断する橋梁や、その橋桁の取りつけなど、周辺環境や景観に配慮した沿道まちづくりと一体的な整備が求められています。
既にそうしたことから、環状四号線の沿道地域においては、まちづくり協議会も結成されて、地域の方々が中心となってさまざまな議論を重ねているようであります。
そこで、環状四号線の高輪地区のこれまでの取り組みと今後の予定をお聞かせいただきたいと思います。
環状第四号線は、広域道路ネットワークを形成するとともに、国際交流拠点品川の実現に不可欠な路線でございまして、昨年七月に港南及び高輪区間の街路事業につきまして事業認可を取得しております。
このうち、高輪区間では、品川駅、田町駅周辺のまちづくりガイドラインにおきまして、周辺地域との連続性に配慮し、緑、にぎわいが一体となった沿道エリアを形成することとしております。
委員お話しのとおり、地元でもまちづくりの検討が行われるなど機運が高まっていることから、地権者の声を丁寧に聞きながら、周辺の歴史あるまち並みや崖線の緑と調和した沿道の地区計画の策定に地元港区と連携し取り組むとともに、高輪衆議院議員宿舎跡地を活用したまちづくり手法による整備を検討しております。
来年度は、新たに用地取得に着手するとともに、区が沿道の地区計画の策定に向けた手続を開始する予定でございまして、二〇二七年に予定されておりますリニア中央新幹線の開通も見据え、環状第四号線の整備と沿道まちづくりを着実に進めてまいります。
3.品川駅周辺交通基盤整備計画策定調査における交通結節機能強化について
そうなんですね、こうした大きな幹線道路ができるということは便利になったり、非常に機能的になる。都市のいろんな問題を解決する大きな一つの方向性だと思いますが、一方で、従来のまち並みというか、環境がかなり大きく変わってくるわけであります。
ですから、そうした沿道まちづくりという視点で、今後はその道路を、新しい道路を中心に、人々の生活やさまざまな景観、また、快適な環境も維持できるような形で検討いただく、そういう方法が非常に大事だと思いますので、ぜひお力を入れていただきたいと思っています。
そして、続いて、その品川駅周辺のまちづくりを進めていく上で、やはり駅にも一層の機能強化が求められます。
先月には、品川駅北口駅前広場が都市計画決定されました。今後、その広場を活用して高速バスが発着する広域的な交通結節点となることが期待をされています。
しかし、例えば、品川駅西口、いわゆる高輪口ですが、鉄道駅やバス乗り場が分散するため、乗りかえや利便性が現在非常に低い。そして、駅前広場、ロータリーも大変狭くてタクシーなどの集中による混雑など、やっぱり交通結節機能をもっと強化しなきゃいけないというのが、これずっといわれている重要な課題となっています。
そこで、来年度予算案に計上されている品川駅周辺交通基盤整備計画策定調査においては、この交通結節機能強化についてはどのように取り組んでいくのか、伺いたいと思います。
品川駅の再編に当たりましては、国際交流拠点の玄関口として、羽田空港のアクセス、リニア中央新幹線及び東海道新幹線への乗りかえをスムーズにし、また、鉄道以外の交通手段との交通結節機能を拡充することが重要でございます。
このため、来年度調査では、新設する北口広場も含め、西口及び東口駅前広場のバスやタクシー等の適切な機能分担について検討し、乗降場の配置や歩行者動線につきまして周辺開発などの関係者と調整を進めてまいります。
特に、品川駅西口では、国道一五号上空にデッキができまして、地上部とあわせまして、バス、タクシー、次世代モビリティー等への乗りかえを可能といたします重層的な駅前広場として再編整備いたします。
引き続き、日本の成長を牽引する国際交流拠点品川の実現に向けまして、関係者と連携し、交通結節機能の強化に取り組んでまいります。
■築地まちづくりについて
1.築地まちづくり方針に至る経過について
さまざまなこれから取り組みが予定をされている品川駅、そしてその周辺であります。新駅もそうですが、品川駅に今、私も立ちますと何かつい空中を見上げてしまって、将来のそうしたまちづくりというか、駅の整備はどういう形になるかというのを想像しながら、夢を描いているわけでありますけれども、この日本の発展を牽引する国際交流拠点品川の実現のためには、官民連携によるまちづくりや都市基盤整備が一体的に進められることが必要不可欠であります。
引き続き精力的に取り組んでいただくようお願いをして、次の質問に移りたいと思います。
それでは、次は、築地まちづくりについてでございます。
築地まちづくり方針について、昨年十一月に、いわゆる第ゼロ段階の船着き場エリアの先行整備事業について、その実施の報告を受けました。そして、来年度は事業者を募集する予定とお聞きしています。
そこで、きょうは、これまで我が会派がさまざまな機会で築地まちづくりについて関連して確認させていただいたことに、もう一度触れながら、改めて質問を進めていきたいと思います。
それでは、まず、この築地まちづくり方針に至る経過、つまり、最初に築地市場跡地で再開発をやろう、やれと、都市整備局でこれはやりなさいというような指示があったのは、いつ、誰からなのか伺いたいと思います。
築地のまちづくりにつきましては、平成二十九年六月二十日の基本方針公表後、六月二十二日の市場移転に関する関係局長会議におきまして、築地の再開発に向けた検討に都市整備局が中心となって取り組む、開発コンセプト、開発手法、開発スケジュールなどの検討を行うこととされております。
2.築地市場跡地の土壌汚染調査の詳細について
そうですね、今のお話のように、六月二十日に、知事から突然の、築地は守る、豊洲は生かすという基本方針が発表されています。
それを受けて、六月二十二日の関係局長会議で、築地の再開発が指示をされ、都市整備局がこうして準備を重ねてきて、この築地まちづくり方針の策定へと至ったわけだと思います。
ちょうど都議会議員選挙の前回の時期でありましたということで、特に、この築地は守るというその言葉は大変インパクトがありました。
そして、八月に、記者からその決定過程を問われた小池知事は、豊洲移転、築地再開発を決定した判断について、決定過程についての記録がないことに触れ、有名なAI発言──つまりAI、人工知能であり、政策決定者でもある、知事自身が決めたんだというふうに答えられました。
この旧築地市場跡地利用についての築地は守る、豊洲は生かすといった、都民にあたかも築地に市場機能を残すかの期待を持たせた知事の発言については、その後、食のテーマパーク、そして食文化へと変えられることになりました。
我が会派は、何度もその変節した矛盾などを指摘してきましたが、知事からは一度も都民が納得するような説明や答弁はいただけなかったということであります。
いずれにしても、この築地まちづくり方針策定への取り組みは、まさに知事のひらめき、思いつきによる決定による、まさにトップダウン、そしてブラックボックスの中で決まったことでスタートしたのであります。
こうした事実からも明らかなように、トータルで五千四百三十億円もの膨大な税金を投入する、しかも、資金回収に余りに長期な期間を要し、都民に将来にわたる負担を背負わせるおそれのあるこの事業の責任は、紛れもなく小池知事自身にあるということが確認できます。
このことはしっかりと申し上げて、次の質問に行きたいと思います。
まさに、この壮大な築地再開発事業を進めていく上で重要となる築地まちづくり方針には、事業の根幹たる財政計画はおろか、具体的な施設規模や期間、将来像などが示されていません。
跡地取得だけで五千二百億円もの巨額な税金を投じたこのプロジェクトのその資金回収はどうなるのかだけでも本当に心配です。
こうした思いをお伝えした上でお聞きします。こうした中、いよいよ第ゼロ段階整備の事業者募集ということですが、まずは、この築地まちづくりという大型再開発事業を進める上で必須となるのが土壌汚染調査、そして続く埋蔵文化財調査であります。
そこで、まず、この跡地の土壌汚染調査について、敷地全体で何カ所行う予定で、これまで他局が行ったものも合わせて、何カ所で調査が行われているのか伺いたいと思います。
旧築地市場跡地における土壌汚染調査につきましては、環境局が作成した手引に基づきまして、十メーターメッシュで調査地点を設定し、各局がそれぞれの事業の実施に合わせて、必要な箇所において土壌汚染調査を行ってございます。
築地地区のまちづくりに当たりましては、他局が土壌汚染調査を行った地点を除いて調査を行うこととしており、調査が必要な地点数については、今後、まちづくりの具体化を図る中で定めていくこととしてございます。
これまでに調査を行った地点数は、当局が今年度行ったものも含めまして五百四十八地点でございます。
3.今年度行われた調査箇所の結果について
今年度までに五百四十八地区の調査を行ったということですが、その結果ですけれども、都市整備局が行った土壌汚染の調査箇所についてで結構ですので、調査結果についてお聞かせいただけますでしょうか。
旧築地市場跡地のまちづくりに当たりましては、時間軸を意識し、大規模な土地のポテンシャルを最大限に引き出しながら、段階的に適切な機能を順次導入、整備していくこととしておりまして、その進め方、スケジュールについても、昨年度策定したまちづくり方針において既にお示ししているところでございます。
また、各段階の整備に向けて、埋蔵文化財調査等を戦略的に行うこととしてございます。
当局では今年度、先行整備を行う第ゼロ段階の船着き場周辺のエリアにおいて、市場の解体工事や東京二〇二〇大会の車両基地整備工事と調整を図りながら、土壌汚染調査を実施しておりまして、概況調査を百四十六地点、詳細調査を二十二地点で行ったところでございます。
その結果、土壌汚染対策法及び都民の健康と安全を確保する環境に関する条例に基づく基準値を四十八地点で超過したことが判明したところでございます。
4.今後の調査スケジュールについて
四十八地点で基準値を超過しているということでありますので、実際にはまだ土壌汚染調査は全て終わったわけじゃもちろんないわけで、単純に面積でいうと二十三ヘクタールですから、たしか十メーターメッシュで調査するとなれば、二千三百カ所。ただ、先ほどの答弁でもいろいろと選んでいくというお話もありましたので、それだけの数ではないんでしょうけれども、既に終わった箇所、先ほどお聞きした箇所を引いても、まだかなり相当な数の調査が残っていると感じます。
この辺、先ほどもお話しいただいたかな、その残った部分も含めて、今後のスケジュール感をちょっとお聞きしたいと思います。
第ゼロ段階の船着き場周辺のエリアにおきましては、令和四年十月の着工に向けまして、今年度から市場の解体工事や東京二〇二〇大会の車両基地整備工事と調整を図りながら、土壌汚染調査を実施しておりまして、引き続き、来年度は東京二〇二〇大会終了後に調査を実施してまいります。
第一段階以降のエリアにつきましては、まちづくり方針にお示しした各段階の整備に向けまして、調査を戦略的に行うこととしてございます。
5.汚染が判明した箇所への対応について
それで、先ほど基準値を超過した場所があったということですけれども、都市整備局が行った土壌汚染調査の結果で、汚染がわかった箇所については、どのような、これから対応をしていくのかも伺っておきたいと思います。
一般的に、土壌汚染調査の結果、基準を超える汚染が確認された地点においては、掘削除去などの対策が行われることになるものでございます。
当地区におきましても、関係法令に基づきまして、適切に対応することとなると考えてございます。
6.埋蔵文化財調査について
前の話ですが、都知事は、豊洲市場の土地に関しては法的にも科学的にも問題がないのに、安全であっても安心ではないとおっしゃって、市場移転をおくらせて、その結果、市場業者への補償など多額の費用負担や環状二号線の本格整備、本格開通におくれを生じる結果を招いたわけであります。
それだけ安心にこだわるわけですから、ここはしっかりとした土壌汚染対策を講じることを求めておきます。
そして、続く埋蔵文化財調査については、この土地の地歴からも江戸時代の武家屋敷の遺構や遺物が出ることなどは明らかだと思います。
そうなれば、埋蔵物の発掘調査の安全を確保しながら、汚染土壌の掘り出しや搬出など、対象面積を考えれば、途方もない時間と労力、巨額の費用などが必要となることが、かつての汐留の区画整理事業の例を見るまでもないかと思います。
そこで、埋蔵文化財調査はどのようなスケジュールで進めるつもりなのか、また、どれぐらい時間がかかる予定なのか、伺いたいと思います。
築地まちづくりにおきまして、当地区の段階的な整備の進め方に沿いまして、埋蔵文化財調査を戦略的に行うこととしてございます。
文化財の発見される範囲や種類などにより、現時点で調査期間を特定することは困難でございますが、他の大規模開発の事例等も参考にいたしますと、一年間の調査範囲は一から三ヘクタールと想定してございます。
7.着工期間についての確認
一年間の調査範囲というのが一から三ヘクタールということです。これは一概にどこまで掘り進んでいくかというのは、今の段階ではわからないかもしれませんが、単純に考えても、面積全体二十三ヘクタールを、仮にですよ、やるとすれば、それだけでも八年から二十年かかるわけです。
汐留なんかの例を見ても、やはりあれだけの規模のもので、かなりの年数、八年くらいですか、私も当時区議会でしたけれども、何度も現場を見させてもらいましたけれども、丁寧にやる調査には時間かかったと思います。
このように、かなりボリュームのある土壌汚染調査、そして埋蔵文化財調査は、これは土地の売り主義務として、今回は中央卸売市場会計の負担でこれを行う──これは売り主がもともと中央卸売市場だからでしょうけれども──ということです。
それがこの予算の中にも少し、あらかじめこうつかみでとっているわけですけれども、その土地の取引上の慣例から考えても、こうしたことの手続をクリアして初めて土地を活用することが可能になるというふうなのが常識だと思います。
しかも、これらの手続を行えるのは、この市場跡地を東京二〇二〇大会の輸送基地として活用し終えてからの話であります。
まだまだ、そうした解決すべき課題がこれだけたくさんあるのに計画だけが進んでいます。知事が公言された五年以内の着手が可能なのか甚だ疑問です。やはり第ゼロ段階は五年着工のつじつま合わせにしか思えません。
ここで、念のためお聞きしたいんですが、知事が五年以内に着工するといった、その五年というのはどこから五年なのか確認しておきたいと思います。
平成二十九年六月二十日の基本方針において示されましたのは、五年後を目途に再開発するということでございます。
再開発の着工の時期につきましては、築地再開発検討会議によって検討が始められた平成二十九年の十月から、先行する部分の五年以内の着工を目指すこととしてございます。
8.築地まちづくり方針における整備の進め方の見直しについて
平成二十九年の十月からということは既に二年以上たっているわけでありまして、そこまで申し上げた上で、そういったことも考えていただいて、改めて築地まちづくり方針については、この都心の二十三ヘクタールという大規模敷地を活用した未来の東京発展の根幹ともなり得る重要な事業であり、その方針の割には、プロジェクト全体の具体的な姿、スケジュールがまだ整っていないと申し上げておきます。
そんな不確定要素やスケジュールの中、本当に事業者が手を挙げるのかであります。これらを勘案し、築地まちづくり方針における整備の進め方については、いま一度撤回をしていただいて、改めて計画を構築すべきと思いますが、都の見解を伺いたいと思います。
先ほどご説明いたしましたように、旧築地市場跡地のまちづくりに当たりましては、段階的に適切な機能を順次導入、整備していくこととしておりまして、その進め方、スケジュールにつきましても、昨年度策定したまちづくり方針において既にお示ししているところでございます。
また、各段階の整備に向けまして、埋蔵文化財調査等を戦略的に行うこととしてございます。
将来像につきましても、この地のポテンシャルを生かし、周辺地域とのつながりも図りながら、多くの人々が集う、新しい東京ブランドを創造、発信できるような交流拠点を形成することを目指すこととしてございます。
その将来像の実現に向けて、当地区のまちづくりを着実に進めていきたいと考えてございます。
きょう、繰り返しのようなやりとりをさせていただいて、その中で取り上げた課題だけでも、かなりの、さまざま手続に時間を要するというのは明らかであります。
当然、その間は具体的な投資経費の回収計画というのは進められないわけであります。
よって、現状では築地まちづくり計画として計上した全体費用五千四百二十三億円もの投資経費の回収計画はほぼ白紙の状態であるといえます。
将来の都財政に与える影響も考慮すると、全体計画と財政見通しを曖昧にしたまま築地跡地の都市計画手続を進めることは適切でないと考えます。
そのことを申し上げて、質問を終わります。
【都議会リポート】
https://www.gikai.metro.tokyo.jp/record/urban-development/2020-04.html