令和2年 都市整備委員会(3月16日)
令和2年3月16日の都市整備委員会にて、質疑を行いました。
■分譲マンションの管理適正化に向けた施策について
私からも、分譲マンションの適正な維持管理、そして、円滑な再生の促進の観点から質問をさせていただきたいと思います。
私の地元港区では、古いマンションが結構多いんですけれども、そのようなマンションでは、管理上の問題や、加えて耐震化、また、建てかえなど、実に多くの課題が見られます。
また、戸建住宅と異なり、分譲マンションは建物を区分所有するがゆえに、そこに住む居住者皆で管理組合を運営して、総会を開いて、どのようにこれからマンションを管理し、再生していくか、しっかりとそうした合意形成をしながら進めていかなくてはならない、そういうものであります。
都では、この四月から、いよいよ条例に基づく管理状況届け出制度が施行され、マンションの管理適正化に向けた取り組みがスタートします。
私はかねてより、このマンション管理の適正化、老朽化や建てかえへの早期対応について、さまざまな場面で主張してきておりまして、届け出制度については大いに期待をするところであります。
ただし、この届け出制度が進んでいくと、その先には、管理組合が実際には設立されていない、あるいは管理組合は存在するものの実態として機能していない、そんな管理不全マンションやその予備軍の存在が徐々に明らかになってくることが想定されます。
そこで伺いたいんですが、届け出制度により、まずはマンションの状況を正確に把握することになると思いますけれども、届け出の情報をもとに、都は、管理適正化に向けた施策にどのように取り組んでいくのか伺いたいと思います。
管理状況届け出制度では、届け出内容といたしまして、管理組合や管理規約、大規模修繕工事の実施の有無の項目等がございまして、これにより、管理不全の兆候を把握いたします。
管理不全の兆候のあるマンションに対しましては、マンション管理士などとも連携し、個別訪問により書類や建物の調査を実施するとともに、把握した状況に応じて、管理不全の兆候の改善に向けた助言を行います。
さらに、必要に応じまして、マンション管理アドバイザーなどの専門家を繰り返し派遣するなど支援を実施いたします。
また、そのような助言、支援を実施しようとしても、管理組合等の改善の動きが見られない場合には、来年度、新たに設置いたします行政職員やマンション管理士等から成るマンション適正管理啓発隊が訪問し、改善に向けた取り組みを働きかけてまいります。
さらに、助言や支援によっても管理状況の悪化を防ぐことが困難な場合には、その状況に応じて、管理組合に対する指導や文書による勧告も行います。
こうした取り組みにより、管理不全の兆候のあるマンションに対しまして、行政が粘り強くアプローチし、管理不全の予防、改善を図ってまいります。
いろいろな段階もあるんでしょうけれども、さまざまな取り組みによって、こうして粘り強くアプローチをしていくと伺いましたので、それは大いに期待しております。
ただ、実際に、やっぱり私も知っているところでも、管理組合そのものというか、入居者全体がかなりご高齢になられていて、理事長とかにも、何ていうんですかね、やる人がいないからずっとその人がやっていたりするんですが、なかなか慢性化してしまって、余り新しいこともできないし、従来からのことで、どんどんどんどん管理の状態が衰退しているようなことで、何か上からとか、いろんな形でアプローチがあっても、そういう必要性を感じていないというわけじゃないんでしょうけれども、なかなかそこに踏み出せない。物理的に難しいというようなことも見受けられます。
ぜひそういったところもしっかりと進めていただきたいと思いますが、ただ、そういう管理組合も多い中で、この届け出制度の実施、これをしっかりしていく上で、答弁があったような個別訪問による調査など、実際に現場で従事する行政職員には大変苦労がかかると思います。区や市と連携しながら、都としても、ぜひ積極的に取り組んでいただくよう要望いたします。
またさらに、この届け出制度を活用して、まずは、各マンションの状況を正確に把握し、適正に管理に誘導していくとともに、その先の建てかえや耐震化に結びつけていくことも極めて重要だと思います。
現在、都内の分譲マンションは約百八十七万戸と伺っておりますが、そのうち約二割は、昭和五十六年以前に建てられた旧耐震基準です。こうした老朽マンションについては、建てかえ、改修などにより再生を促進していくことが重要ですが、建てかえ検討では、都市計画や建築規制上の既存不適格となっているために、マンション単体では建てかえが困難となっている事例が多く見られます。
この現状を打開するために、敷地の共同化など、まちづくりと連携して建てかえを促進する仕組みとして、東京都は、平成二十七年度から二年間をかけて、都内三地区、品川の大崎駅西口駅前地区、また杉並の方南町駅周辺地区、また、多摩市の諏訪、永山地区でモデル事業を実施して、その結果を踏まえて、二十九年にはマンション再生まちづくり制度を創設しています。
なお、いち早くこのモデル事業に取り組んだこの三地区のその後の状況なども伺ってはおりますけれども、地区ごとにまちづくりの課題もあるようで、やはりこうしたマンション建てかえで周辺との共同化を誘導する事業というのは、その課題解決に十分時間をかけていかなければならないのかもしれません。
しかしながら、老朽マンション対策は、地震災害のことを考えますと、一刻も早く進めるべきであります。そして、都がマンション再生まちづくり推進地区に指定することで、地区内のマンション管理組合が合意形成する際の費用補助のような支援策などもあるようですから、その普及を図ることが何よりも重要だと考えます。
そこで伺いますが、マンション再生まちづくり制度を活用して再生を促進するためには、マンション再生まちづくり推進地区の指定後の地区内のマンションへの支援が特に重要になると思われますが、見解を伺いたいと思います。
都は、マンション再生まちづくり制度に基づき、マンションの再生を図る必要性が高い推進地区として指定した後は、地区内の管理組合が行う合意形成に要する費用に対しまして、区市と連携して助成してございます。
また、特別に容積率を緩和する仕組みである都市開発諸制度との連携により、推進地区内におきましては、通常と比較して容積率をさらに緩和することが可能となり、管理組合による再生に向けた合意形成が行いやすくなることも期待されます。
さらに、本制度の要綱に基づき、推進地区を指定した地区では、定期的に地区内のマンション再生の状況について地元区市から報告を求めるとともに、その内容に応じまして、都から区市に対して、必要な助言または技術的な支援を実施することが可能でございます。
これらにより、推進地区内のマンションの管理組合が再生に係る決議等の手続を円滑に進められるよう支援することで、マンションの再生を促進してまいります。
答弁をいただいたとおりですが、マンション再生まちづくり推進地区に指定されれば、容積率の緩和により管理組合内の合意形成が進みやすくなるということで、これはやはり建てかえに当たってどうしても生活再建、なるべく自己負担を減らす中で再生を図りたいという思いというのは結構多いので、容積率をふやすことで、新たに事業化しやすいというようなこともありますので、それはいいことだと思います。ぜひ都としても、制度のさらなる普及に力を入れていただくよう要望いたします。
また、地元の区市に対しても、都からのサポートが得られるとのことですので、特にマンション事例が少ないような自治体、また、どうしても区市というのは技術職員の手がやはり、東京都も決して余っているわけじゃないと思います、大変だと思いますが、技術職員は全体的に足りないんですが、特に区市においては足りないと聞いております。そうした基礎自治体にとって、ぜひ心強いパートナーとなれるように、都の方もぜひ親身な対応をお願いしておきます。
最後になりますが、この四月からスタートする届け出制度が円滑に進むとともに、適正な管理が円滑な再生につながっていく、そんな理想的なマンションのライフサイクルがこの東京で実現することを大いに期待しながら、私の質問を終わります。
【都議会リポート】
https://www.gikai.metro.tokyo.jp/record/urban-development/2020-03.html