令和元年 都市整備委員会(10月31日)
令和元年10月31日の都市整備委員会にて、災害に強い都市づくりやまちづくりについて、大規模地下街などでの浸水対策について質疑を行いました。
■災害に強い都市づくり、まちづくりについて
1.政策誘導型の都市づくりの取り組み状況について
それでは、私の方からは、グランドデザインに描かれた二〇四〇年の東京に向けた都市づくりの取り組みについてと、それから今、やはり災害対策というのは注目されていますので、災害に強い都市づくり、まちづくりというような視点で何点か質問をさせていただきたいと思います。
来年にはいよいよ東京二〇二〇競技大会が開催されます。そして、現在まさにその機会を捉えた都市づくりが、官民あわせて活発に進められているところであります。
一九六四年の東京大会は、その後の東京、ひいては日本の成長を支える大きな都市づくりの転機ともなりました。来年の東京大会が将来の東京のさらなる発展につながっていくことを、大いに期待をしている一人であります。
さて、都市整備局では、一昨年、二〇四〇年代を目標に置いた都市づくりのグランドデザインを策定し、目指すべき東京の将来像とその実現に向けた戦略をまとめています。
二〇四〇年というと遠い未来のようでもありますが、わずか二十年後の話であります。こうしたまちづくりに携わる皆様にとっては特に感じるかもしれませんが、二十年というのはあっという間であります。今からしっかりと準備を進めなければ間に合わない、そうしたものもあるかと思いますので、その辺でちょっとお聞きしたいと思います。
その意味では、グランドデザインの策定はまさに今スタートであり、その実現のためには、広範にわたる都市づくりの分野において、多くの関係者のもとでこれらを実行に移して形にしていくことが必要であります。
そこでまず、都は、都市づくりのグランドデザインで示した将来像の実現に向けて、政策誘導型の都市づくりを掲げていますが、その取り組み状況をお聞かせいただきたいと思います。
行政計画である都市づくりのグランドデザインについて、都市計画の基本的な方向を定める法定計画である都市計画区域マスタープランに反映するため、現在、その改定に向けた検討を行ってございます。
また、民間の都市開発を誘導しながら、地域の特性を踏まえた個性ある魅力的な拠点を形成していくため、本年三月には、新しい都市づくりのための都市開発諸制度の活用方針を改定しており、駅とまちが一体となる都市づくりや水辺に顔を向けた都市づくりなどの誘導を図っているところでございます。
さらに、拠点ネットワークの充実強化や、厚みとつながりのある緑の充実を初め、土地利用の面からグランドデザインの将来像を実現するため、都市計画審議会の答申を踏まえ、先般、用途地域等に関する指定方針及び指定基準を改定いたしました。
今後、この基準に基づき、区市町村との連携のもと、活力とゆとりある高度成熟都市に向けた適切な用途地域の見直しを行ってまいります。
2.東京の都心部が中核的な拠点に位置づけられる意義について
二〇四〇年、都市づくりの着実な実現に向けて、それぞれこのグランドデザインの中で立てられた戦略に沿った形で政策方針を掲げて、さまざまな取り組みを進めていることがわかりました。
特にその中で、今、やはり皆さんが非常に関心を持っている災害リスクへの対応、これに強いまちづくりという点においては、こうした取り組みをさらに一層進めて、大胆な政策の誘導というものも必要になってくるかと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
それでは、少し絞ってお聞きしたいと思います。
東京の都心部における拠点については、かつて都心、副都心として位置づけられていましたが、このグランドデザイン以降、例えば私の地元の今大きく変わりつつある品川駅周辺を含めて、中核的な拠点に位置づけられています。
そこで、こうした中核的な拠点に位置づけられることの意義について改めて確認をさせていただくとともに、かつての都心、副都心に位置づけられていた拠点における現在の状況についてお聞きしたいと思います。
東京駅周辺など中核的な拠点は、広域的な観点から、国際的なビジネス機能など東京圏と日本の中心的な役割を担う地区であり、国際ビジネス、商業、芸術文化、観光、居住など、地域特性に応じた多様な機能の集積を図ることで、さらなる東京の活力や魅力を高め、持続的な発展を推進していくものでございます。
現在の状況については、例えば、東京駅周辺では、大手町から日本橋エリアにかけて、国家戦略特区や首都高の地下化を含めた周辺開発を進めており、八重洲地区では、都市再生特別地区の決定を受け、バスターミナルの整備などの開発が進んでおります。
また、渋谷駅周辺地区では、クリエーティブコンテンツ産業の集積を促進し、先進的な生活文化などの情報発信拠点の形成に向けた開発が進んでおります。
新宿駅周辺におきましても、線路上空のデッキや駅前広場などの公共施設の整備を行い、新宿グランドターミナルへの一体的な再編を推進するため、現在、都市計画の手続を進めております。
こうした複数の有力な拠点の更新を計画的に誘導していくことにより、東京の持続的な経済成長を着実に牽引してまいります。
3.品川駅や田町駅周辺におけるまちづくりの現在の状況について
私の地元の品川駅、田町駅の周辺も、この中核的な拠点などに今位置づけられていますが、来年春に山手線三十番目の駅となる高輪ゲートウェイ駅が開業するほか、リニア中央新幹線が二〇二七年に品川と名古屋駅間で暫定営業する予定であります。
こうした交通基盤の充実強化に呼応するように、駅周辺では新たなまちづくりが進んで、まちは大きく今さま変わりしようとしています。
そこで、改めて品川駅や田町駅周辺におけるまちづくりの現在の状況をお聞きしたいと思います。
東京都では、品川駅・田町駅周辺まちづくりガイドライン二〇一四を平成二十六年に策定し、本地域の将来像を、これからの日本の成長を牽引する国際交流拠点品川と位置づけ、優先的に整備する地区を定めて、土地利用や基盤整備、景観、環境形成などについて、戦略的にまちづくりを誘導してまいりました。
例えば、品川駅北周辺地区では、国家戦略特区の認定を受け、土地区画整理事業による駅前広場や都市計画道路の整備が進められております。二〇二〇年春に高輪ゲートウェイ駅が暫定開業し、東京二〇二〇大会時には駅周辺においてイベント等が開催される予定でございます。大会後は国際競争力を高めるビジネス機能や滞在機能が導入される開発を進めていく予定でございまして、これらと一体となったまちづくりを進めるため、泉岳寺駅地区では、地下鉄駅の改良に合わせ、東京都施行による再開発事業に取り組んでおります。
また、品川駅街区地区では、リニア中央新幹線の整備を契機とした駅の東西をつなぐ歩行者ネットワークの強化に向けた京急線の連続立体交差事業に伴う土地区画整理事業の事業認可を本年八月に取得しております。
さらに、品川駅西口地区では、本年七月の環状第四号線の事業認可を得て、沿道まちづくりと街路整備事業を検討しております。
引き続き、各地区が連携しながら、地域全体の一体性の確保に向けて、交通結節機能の強化を進めるなど国際的な交流拠点形成に取り組んでまいります。
5.東京都の今後の取り組みについて
今お話しいただいたように、さまざま環四も含めて多くの動きがあるわけでございます。各地域のそうした整備が進んでいる一方で、品川駅の東側などでは新たにまちづくりの機運が高まりつつあります。そしてまた、国から品川駅西口において国道上空の活用の取り組みについて掲げられ、これが新聞発表されたりして、そういったことで報告を受けています。
こうした動きに的確に対応することで、駅周辺のまちづくりが一層盛んに進んで、品川地域が東京のみならず日本の玄関口として発展することを期待しています。
そこで、日本の成長を牽引する国際交流拠点の実現に向けて、この品川、田町地域のまちづくりに一層取り組むべきと考えますが、東京都の今後の取り組みを伺っておきたいと思います。
品川駅、田町駅周辺地域では、二〇一四年のガイドライン策定後、先ほど申し上げたように、優先的に整備する地区でのまちづくりが進展する一方で、品川駅西口において国道上空を活用した立体的な広場構想や、品川駅の地下鉄新線の構想が国から示されるなど、新たな動きが出てまいりました。
こうした状況の変化を踏まえ、地域全体の一体性をさらに高められるよう、品川駅・田町駅周辺まちづくりガイドライン二〇一四の改定に向けて検討を進めているところでございます。
引き続き、関係者と連携しながら、品川駅、田町駅周辺地域のまちづくりを進めてまいります。
5.災害時業務継続施設整備事業の内容について
まさにJR、そして東京都、国、また民間も含めて、さまざまな形で同時進行的にまちが大きく変わろうとしている、周辺のまちづくりが進んでいるという中で、やはり大切なのは--中心となるまちはJRが開発していますから、それ自体が多分、一話完結というとおかしいですけど、まちそのものが下手をすると完結した形になっちゃう。そこに入ってきて、そこで帰ってしまう。やはり、そのできるまちと、今開発をしている周辺のまちと、新しい道路とが、しっかりと影響を与え合いながら、連携をし合って一体となるようなまちづくりをしていくのは、都の役割が大きいんじゃないかなと私は思います。
そうした意味で、ガイドラインの改定とあわせて、ぜひ引き続き関係者と連携をして、品川駅、田町駅周辺のまちづくり、そしてやはり従来から住んでいる区民、またこれから新しいまちの魅力を求めて移り住んでこられる方、またそこで働く方たち、皆さんに喜んでもらえる、将来、それこそ二〇四〇年に、すばらしいまちができたなと思ってもらえるような、そうしたことが実現できるように、着実に計画を進めてもらうことを要望して、次の質問に移りたいと思います。
それでは、次に、災害に強いまちづくりという意味で、エネルギーの面的利用に対する支援の取り組みについて伺いたいと思います。
先日の台風十五号、十九号でもそうだったんですが、もちろん都内はそうなんですが、千葉県などは大規模な停電、そうした被害が長期間続いて、住民生活、また社会経済活動に甚大な影響を与えています。
これがたまたまというか、都心部では比較的そうした影響が出なかったわけですけれども、これも災害の度合い、内容によって、いつ都心においても大きな被害が出ないとは限らないわけであります。多くの機能が集積する東京都心において、災害時における大都市の業務中枢拠点におけるこうしたエネルギーの安定供給の確保は、まさに重要な課題であると思います。
それで、都市整備局では、災害時における帰宅困難者の安全確保や、業務機能、行政機能継続に必要なエネルギーの安定供給の確保に資するエネルギーネットワーク化による事業として、災害時業務継続施設整備事業に取り組んでいるということです。
そこで、まず本事業について、改めて内容を確認しておきたいと思います。
都は、平成二十九年度より災害時業務継続施設整備事業を創設しておりまして、東京の防災性を向上させ、国際競争力を強化するため、特定都市再生緊急整備地域におきまして、国や地方公共団体、事業者等により構成される協議会が、エネルギーの面的利用のインフラとなるエネルギー導管の整備等を行う場合に、国とともに補助を行っております。
これまで、日本橋室町三丁目地区と丸の内三丁目地区の二地区の事業に対して補助を行っております。
6.都が補助を行う理由について
都市再生緊急整備地域内におけるエネルギー導管の整備などに対して、都が補助を行っているということはわかりました。
一方で、こうした地域における都市開発においては、民間活力を活用して整備を促すことも可能であるかと思います。
そこで、こうした地域において都が補助を行う理由は何なのか伺いたいと思います。
東京が国際都市として世界をリードするためには、絶え間ないビジネス活動を停止させないエネルギー供給網を整備することが重要でございます。それに向け、都は、民間事業者による都市開発の機会を捉え、災害に強い中圧ガスを用いたコージェネレーションシステム等により電気と熱を生成し、エネルギー導管を通じて面的に供給するシステムの整備を促進しております。
一方で、都市機能が集積し、地下埋設物がふくそうしたエリアで面的に行われるエネルギー導管の整備は、施工の困難性が非常に高く、事業採算性の確保が難しいといった面がございます。
このため、都は、地域の協議会として一体となって実施する事業に対して、補助により支援をしております。
7.大規模な被害が起きた時にどのような効果をもたらしていけるのか
中圧ガスを使ってコージェネレーション、これは市街地再開発事業などでもある程度、プロジェクト等によっては独自の発電所を持ったり、そういうエネルギープラントを持って取り組んでいるというのは何件か私も視察したことがあるんですが、今お話を伺ったような大規模な取り組みを今進められているということで、やはり、災害時におけるエネルギーの供給がある程度安定して続けられるという部分では、かなり期待できるものだと思います。
しかしながら、その一方で、施工の困難性が高くて、事業採算性の確保が難しいということで、その取り組みを地域の協議会が担っていることから、それに対して補助を実施しているということがわかりました。
冒頭申し上げたように、昨今、例えば北海道胆振東部地震、このときもたしか、その後そうした施設が非常に機能したということを聞いています。台風十五号、十九号など自然災害による大規模な停電被害等が各地で発生しており、東京においても、今後さらに大規模な被害が想定されます。
そこで、こうした事業はどのような効果を今後もたらしていけるのか、それをどう考えているのかお聞かせいただきたいと思います。
本事業により、災害等により停電が発生した際にもエネルギーを供給することで、経済活動を継続させるとともに、帰宅困難者を地区の一時滞在施設に受け入れることが可能となるほか、CO2排出量の削減など環境面での効果なども見込まれます。
先ほど答弁申し上げました二地区では、停電発生時の損失回避便益や一時滞在施設の機能維持に関する便益、さらにはエネルギーの効率化に関する便益などを、定量的に算出しておりまして、日本橋室町三丁目地区では約千五百六十億円、丸の内三丁目地区では約五百六十億円となっております。
都といたしましても、強靱なビジネス拠点の形成による国際競争力の一層の向上に寄与するものと考えております。
■大規模地下街などでの浸水対策について
1.都市整備局のこれまでの取り組みについて
今お話しいただいたように、こうした都市機能が集積している東京、特に都心部などでは、定量的な目に見える効果だけではなくて、目に見えない大きな効果があることがわかりました。
そして、昨今の災害からも、災害時におけるエネルギーの安定供給が、やはりこれからも大変重要なことだということを改めて感じましたので、そのことを強調して、次の質問に移りたいと思います。
最後に、大規模地下街などの浸水対策に関連してお伺いをしたいと思います。
台風十九号の影響により、都内でも多くの建物の浸水被害が発生したことを受けて、今後、東京における防災への備えを加速していかなければならないと考えます。とりわけ都内ターミナル駅周辺は利用者が多く、地下街や鉄道駅のコンコース、駐車場などが複雑につながり合って、加えてこのような施設に地下でつながっているような隣接ビルも数多くあります。
このような地下空間が豪雨や洪水により短時間で浸水した場合、水があちらこちらに回りますので、特に大きな被害を受けるおそれがあり、私の地元では、新橋地区などを含めた都内の大規模地下街などにおける浸水対策を促進してほしいと思います。
そうした促進をするには、やはりハード面の対策はもちろんなんですけれども、それだけではなくて、やはりおのおのの施設管理者がしっかりと連携して、いざというときに行動ができる、誘導ができる、そうした連携して取り組むソフト面の対策が必要であろうかと思います。
そこで、大規模地下街などの浸水対策について、これまで都市整備局のとってきた取り組みについて伺いたいと思います。
集中豪雨から地下街やこれに接続する施設の利用者の安全を確保し、施設などの被害を軽減するためには、地下街等の管理者全てが連携して浸水対策に取り組むことが極めて重要でございます。
都は、先ほど委員の方からもお話ありました新橋地区を含みます十二地区の大規模地下街等におきまして、地下街や隣接ビルの管理者、鉄道事業者、地元区などの関係者と連携し、浸水対策を取り組むため、協議会を設置しております。
この協議会を通じまして、平成二十八年度までに全ての地区で緊急連絡体制や避難誘導方法などを定めた浸水対策計画を作成しており、これに基づきまして、各地区の施設管理者の連携を強化するため、毎年、情報伝達訓練を実施しております。
2.浸水対策への具体的な取り組みについて
新橋地区を含めて、都内のこうした大規模地下街などにおいて浸水対策計画を作成して、各施設管理者が連携した情報伝達訓練を実施しているということでありますけれども、今年度はさらに一歩踏み込んで浸水対策を進めているとも聞いています。
そこで、具体的にどのような取り組みを行っているか伺いたいと思います。
今年度は、渋谷地区、上野御徒町地区、浅草地区で先行しまして、地下街等の出入り口について、施設管理者とともに豪雨の際の雨水の流入に対する安全性などの調査を行い、それを踏まえた避難経路の精査を実施しております。
施設管理者が主体となって、みずから避難経路の精査を行い、その結果を浸水対策計画に反映させることで、施設管理者による円滑な避難誘導を促進し、地下街利用者の一層の安全性を確保してまいります。
この取り組み内容をモデルケースといたしまして、今後、他の地区に情報提供を行い、それぞれの地区の特性に合った浸水対策計画の充実に向けた取り組みにつなげてまいります。
ぜひこうしたソフト面における浸水対策を、やはり被害を最小限に食いとめるためにも、さらに広げて、拡大をして充実していただくことを要望して、私の質問といたします。終わります。
【都議会リポート】
https://www.gikai.metro.tokyo.jp/record/urban-development/2019-15.html