令和元年 都市整備委員会(12月12日)
令和元年12月12日の都市整備委員会にて、質疑を行いました。
■住宅被害対策区市町村支援事業について
私からも、この補正予算案の住宅被害対策区市町村支援事業についてお伺いしたいと思います。
重複する部分は削除いたしまして、要望も兼ねて一問質問させていただきたいと思います。
まず、台風第十五号、第十九号は、記録的な暴風雨をもたらし、各地に甚大な被害が発生しました。この都内でも、先ほど来お話があったように、広範囲に屋根の破損や床上浸水など、住宅に多くの被害が発生しています。
こうした中で、都は今回、国の制度の対象とならない一部損壊の住宅の補助を補正予算に計上された。そして、こういった取り組みというのが、台風被害に遭われた多くの都民をできる限り広く救済の対象としようとしている制度であると受けとめています。
既に修繕工事が終了して、従前の生活を取り戻している被災者もいらっしゃると伺っておりますが、その一方で、いまだに修理業者の確保ができずに、工事の見通しが立たない、それで、被災したままで困っている状態でいらっしゃるという方も大勢いらっしゃると聞いています。
せっかく今回のような制度をつくった以上、やはり対象となる方々に広く利用していただくことが重要です。これは区市町村が窓口にはなるんでしょうけれども、なかなか修理を請け負う業者が身の回りとか自力では見つけられない、見つからないといったようなことも聞いております。そうしたことがないように、都として取り組んでいくべきと考えますが、見解を伺いたいと思います。
都では、現在、住宅政策本部のホームページにおいて、国土交通省及び住宅リフォーム推進協議会が運営している住まい再建事業者検索サイトの案内をするなど、被災者に対して、住宅の修繕工事業者に関する情報提供を行っております。
また、修理を請け負う業者につきましては、都と災害時における協定を締結している業界団体等へ本制度が創設されたことをお知らせし、事業への協力を依頼するなど、台風被害に遭った都民が円滑に住宅の安全と生活の再建を図れるよう取り組んでまいります。
修繕が追いつかない、間に合わないというのは、もちろん、業者がわからない、知らないだけではないわけです。建築資材が足りない、人材が不足している、いろんな要因が当然あるわけですけれども、それでも、やはりこうした制度を活用してもらう、そして一日も早く日常の生活に戻ってもらうということが重要ですので、局を超えてというとあれですが、都庁全体となって、一丸となって、また民間業者、また各自治体とも連携してそういった取り組みを行ってほしいということをお願いして、質問を終わらせていただきます。
■築地地区まちづくり先行整備事業の実施方針の方向性について
私からも、先日ご報告を受けました築地地区まちづくり先行整備事業の実施方針の方向性に関連してお聞きしたいと思います。
まず、我が会派の考え方ですが、先日の我が会派の小宮政調会長の代表質問でもさせていただいたとおり、私どもとしては、築地まちづくり方針そのものに、まだ大きな不信を覚えているというような立場であります。
都が、都民の税金、五千億という税金で買った土地を長期間民間に貸し付けて、それで、さらに公益性、そして収益性も上げろというような事業についての不信、これはそのときの佐藤都技監の方からの答弁では、そのときのリスクを代表質問では尋ねたわけですけれども、これについては、既に都でもこれまで、将来ニーズへの対応の余地も残しながら都有地を有効活用できる、長期の定期借地権による民間活用プロジェクトはやってきているよと。
長期間にわたって事業を確実に遂行し、事業目的を実現できるよう優良な事業者を選定してきているんだという実績を答弁としてお答えになられました。
しかしながら、これまで都がかかわってきたさまざまな貸し地による事業、定期借地による事業を見てきても、これだけの規模、そしてやはりさまざまなこれからの課題、まだまだ不確定な要素をいっぱい抱えている中で、そうした方針を打ち出してどんどん進めていくということが果たしていかがなものか、まあ、まだまだ検討の余地があるのではないかということを常々考えている次第であります。
このまちづくり方針によれば、今回報告を受けました第ゼロ段階、これがまさにゲートゾーンというんでしょうかね。船着き場を中心とした中期的なと書いてありますけれども、その中期というのが果たしてどれぐらいなのかというのはちょっとわかりません。そうした活用から、一段階、二段階、三段階──三段階はまた同じ場所に戻るわけですけれども、そうした段階を経て、整備をするというような流れは書いてあるわけです。
先ほど来のさまざまな委員の質疑の中にもありましたとおり、まだまだそうした中では課題を解決していかなければならないことが多いという中での今回のゼロ段階のまずは報告、このタイミングでこのゼロ段階、先行整備事業の実施方針の方向性の報告を行われた、このことについての理由と、誰がそれを決めたのかお教えいただきたいと思います。
築地再開発では、公募型プロポーザル方式による都有地活用事業を想定しておりまして、事業実施方針や事業者募集要項を公表し、事業者を選定して、まちづくりを進めることを想定してございます。
また、先行整備する第ゼロ段階としての船着き場周辺エリアにつきましては、今年度中に実施方針を公表することとしてございます。
一方、築地まちづくりにつきましては、これまでも議会にご報告を行い、検討を進めてきたところでございます。本年六月の当委員会におきまして築地まちづくり方針につきましてご報告をさせていただいた際、事業実施方針の公表前にその内容について質疑の場を設けることにつきまして、ご要望もいただいたところでございます。
事業者募集手法に関する具体的な内容、条件などにつきましては、実施方針の策定、公表時に明らかにすることとなるものでございます。
こうしたことを踏まえ、先行整備する船着き場周辺エリアの今年度中の事業実施方針の公表に向けて、本定例会の当委員会におきまして報告させていただいたものでございます。
今伺いましたけれども、今年度中に実施方針をということであります。
もともとの計画にもそういったことが書かれているわけでありますけれども、しかしながら、先ほど来お話がありましたように、この本体、本体というとおかしいですが、今後その次から整備していく第一段階から第二段階という部分において、またこのゼロ段階においても、実際に着工というのは、先ほどお話ししました令和四年ということでございますけれども、まだ現状でいうと解体工事が行われている場所があります。
そして、オリンピック開催時は車両基地として活用して、それを撤去した後にさまざまな土壌汚染対策、また埋蔵物の調査というのが本格的に実施されていくわけであります。
そうしたことで非常に、先ほどいただいた資料の地歴を見てもわかるとおり、有名な武家屋敷があったり、このゼロ段階のところも、そうではないですけれども、やはりさまざまな施設があった、軍の施設があったりしたということで、このゼロ段階も、じゃあなぜゼロ段階だけが先に、まあ、仮に中期の貸し付けだからいいんだよとはいっても、いざ、中期でも、民間がじゃあ暫定でもいいですと、将来的には全体で都としてまた考えていくことがあったとしても暫定でもいいですということで使わせるにしても、やはり実際の事業が始められるかどうかというのは非常にリスクを負うことになるわけですし、当然、その次の一段階から二段階に進む事業が確定しないと、それまでは単純に現状の築地のポテンシャルに対してどう収益を上げるか、しかも一定の期間で収益を上げるかという、単純にいうと国道の幹線沿いにファミレスを出すような計画に近い、それよりは少しはもちろん大きいものでしょうけれども、余り壮大なビジョンというものはなかなか描きにくいのかなというふうに感じるわけであります。
先ほど伊藤委員の質問にもありましたけれども、そうしたことが足かせにならないように、次の段階もフリーハンドでやってほしいと、それはそのとおりであろうかと思います。そういった意味でも、さまざまな不確定な要因というのがまだまだ残っているうちに、そのゼロ段階が何となく少し──まあ、私の判断ですと、まずは船着き場の整備がありますよ、舟運の活性化をしたいですよ、これはもう、私のいる港区でも竹芝のステップアップなどがあったり、いろいろのことで舟運活用したいと思っていますので、そういった意味の、確かに広く都民、また大きなところにPRをするという意味では、非常に大きなポテンシャルであるかと思います。
それと、やはり既存の場外、それから築地のさまざまな旧来からあるまち並み、まちと近いところにある位置ですから、まあ単純にいえば、そのまま晴海通りにも出られるしみたいな形で、活用がやりやすいんじゃないかということで、そういった選考として決めたんだろうと思いますけれども、ただ今いったようにこのゼロ段階で想定しているこの場所も、将来にわたっては全体のまちの玄関になるわけであります。
そして、まあ、大きくは書いてありませんけど、将来はここに首都高も通ったりするような形になったり、さまざまなまだまだこの敷地を取り巻く環境の変化とか、それからいろんな要因があるわけで、そうしたものがある程度具体的な形で見えてこないと、なかなか次へ進められないんじゃないかなというような懸念を覚えるわけです。
そうした中で、本格的な築地まちづくり、これは、まず二〇二二年には一段階の事業者を募集したいというふうになっていますけれども、この二〇二二年の事業者募集のときには、この計画によれば、ゼロ段階の着工にちょうど入るわけですね。
ですから、もうその段階で、一段階の事業者のおおむね将来ビジョンみたいなものが出てくるわけですから、そこと、今のゼロ段階の人が既に着工してしまってどういう事業をやっていこうかということを決めることと、整合性が全くとれていないというのは──全く望めないわけでありますし、また、将来的な二段階の整備に向けて、二段階後まで今のゼロ段階の中期的活用をさせるのか、それとも二段階が始まるまでには少なくとももう契約を終えるのかというのも、先の一段階、二段階の整備の計画が余りにも不確定過ぎて、ゼロ段階の人が一体何年で契約をしたらいいのかというのも読めないんじゃないかという懸念もあるわけであります。
そうしたこれだけの大きなポテンシャルの土地をですね、やはり一番の問題は、民間はいろいろなスキルで、例えばいろんな資金調達方法をやって、もちろん特定目的会社をつくってこうしたものをやっていくんだろうと思いますけれども、ただやはり借地というようなリスク、デメリットもあります。
それから、都は都で、長期貸し付けに当たって、先ほどからお話がありましたように、仮に、他の都の定期借地の例を見ると七十年ぐらいで貸しているケースが多いんですが、七十年といっても準備段階の年数と、それからその後の解体も含めた部分を考えたり、さっきのような要因がいろいろあるんです。
もしかしたら、二〇四〇年代ぐらいを目途に完成ということになると、完成してから七十年後ということになると、二一〇〇年を超えてしまうようなプロジェクトなわけですね。
その間、東京都の所管局である、そのときに都市整備局というのがあるのかどうかわかりませんけれども、そこがずっとこのいわゆる家主として、地主として、特定目的会社との間のさまざまな折衝や、トラブルや問題、その間、経済状況や物事の状況も変わったり、また、長期的にやるにしても、常に採算がうまく回るようなものがずっとつくられればいいですけど、やっぱり後半になってきたときに、あと十年でこの土地は返さなければならないといったときに、例えば公益、公共性の強いホールをつくった、何かアミューズメントの施設をつくりました、MICEの施設をつくりましたといっても、その例えば設備更新というものを民間が本当に真剣に考えるのかどうかとか、いろんな将来的なリスクは負っていかなければならないわけであります。
ですから、そういったようなことが我々の中に非常にまだまだ不信な状態として残っている以上、やっぱりゼロ段階についてもまだまだ慎重に検討すべきというふうに申し上げておきたいと思います。
きょうはちょっと用意した質問はしませんで、最後に、先ほどもありましたけれども、ゼロ段階の着工予定は、令和四年十月に向けて取り組みますよということがありました。
先ほどの答弁にもありましたように、これは当初からずっとお話がある五年以内に着工したいというようなことと整合がとれているというようなご答弁がありましたけれども、まさに約束をしたといっている五年以内の着工に何とか間に合わせたいから、何としてもここでゼロ段階をスタートさせたいという思いがあるんじゃないかとつい考えてしまうわけであります。
そしてさらには、何度もいいますけれども、長期間この土地を民間に貸し付けて、都が所有し続けて、この大プロジェクト、二十三ヘクタール、これ東京ドームシティ全体の二倍以上ぐらいあるわけですから、それぐらい大きな、さまざまな複合の施設、そしてさまざまな目的、公共、公益性を持たせた施設をずっと長期間守り続けるような、その都が負うリスクも含めて考えていく上で非常に問題だと思うわけです。その問題の背景となるのが、小池都知事が前回の都議会議員選挙のときに築地は守るというふうにいった、その築地は守るといったことを守るために、このまちづくりをこうした形で東京都が所有し続けて行うんじゃないかというような、こういうことも、うがった見方をすると考えてしまうということであります。
築地のポテンシャル、そして築地の魅力をしっかりと生かして、今後とも都民のために活用するためには、まだまださまざまな考え方もあるかと思います。そうしたことの余地も残していただき、ご検討いただきたいことを要望して、質問を終わります。
【都議会リポート】
https://www.gikai.metro.tokyo.jp/record/urban-development/2019-18.html