平成30年度 各会計決算特別委員会第一分科会
令和元年10月23日(水)、平成三十年度各会計決算特別委員会にて、自転車の安全利用について質疑を行いました。
■自転車の安全利用について
1.自転車点検整備等促進事業の概要
私からも、自転車の安全利用に関してひとつ伺いたいと思っています。
都は昨年度、都民提案に基づいて、今、斉藤委員からも質問がありました自転車点検整備等の促進事業を立ち上げまして、それに対する区市町村補助事業を立ち上げています。
確かに、自転車の点検整備、これは安全な自転車の利用を促進するとともに、自転車安全整備士により点検整備を受けると貼付されるTSマークには自転車保険が附帯するため、保険加入の促進にもつながる、そうした側面があると思います。
そういった点は非常に有効なものだと思うんですが、一方で、今回、初年度の都民提案制度に沿って早急な制度の立ち上げとなったことから、制度設計に課題がなかったのかなという点について、懸念もされるところがあります。
実際に、三十年度の予算を拝見させていただきますと、予算額が一億二千百万円ほどでありますが、実際の実績は九百八十万円、約八%ということで、まだまだ利用が伸びていなかったというような実態がありますが、そこでまず、この自転車点検整備等促進事業の概要を伺いたいと思います。
自転車点検整備促進事業の概要についてでございますが、都民の自転車点検整備を促す区市町村への助成を通じまして、自転車の安全性の向上や、自転車安全利用の促進を図ることを目的に開始をしたものでございます。
都民が自転車点検整備を受ける際の経費を支援する自転車点検整備支援事業と、区市町村が行う点検整備への普及啓発に係る経費を支援する自転車点検整備普及啓発事業から構成をされておりまして、補助の内容は、どちらも区市町村が負担をした経費の二分の一を都が助成するという内容でございます。
2.助成制度の周知について
東京都の自転車安全利用条例では、自転車の点検整備の努力義務、そして、ことしの九月の第三回定例会で可決され、来年四月一日施行予定の自転車損害賠償保険の加入義務などを定めていて、本事業により自転車を点検整備する都民がふえることで、確かに、都の自転車安全利用条例の目的を達成する意味では、事業自体は大変有効な事業であると考えます。
しかし、このことが区市町村助成事業である、それに対する補助ということであり、区市町村が助成対象となる事業を行っていない場合、当該区市町村の住民にはこの都の補助金が交付されないわけであります。私の港区も、まだその事業を行っておりませんので、特に利用はされておりません。
そういった意味で、税金を原資とする事業としての公平性を考えると、まずは、住民に対して点検整備の助成制度を持っていない区市町村への制度周知を徹底して行う、当該区市町村の新たな助成制度の立ち上げを促していく、このことが必要であると思います。
しかしながら、こうした働きかけというのは、都側から、こういうのをやろうよやろうよというのはいいんですが、一方で区市町村から見ると、都の押しつけじゃないかと受け取られる面も、若干あるんじゃないかと考えます。
そこで、都はこの間、区市町村への制度周知をどういう形で行ったのか伺いたいと思います。
都はまず、区市町村の部課長級会議の場で制度の周知を行いまして、その上で、区市町村の担当職員を対象とした制度説明会を実施したところでございます。
さらに、希望のございました区市町村など二十以上の自治体を訪問し、制度の周知徹底を図るとともに、ご理解を求めてきたところでございます。
3.自転車の安全利用に向けた普及啓発事業について
自転車事故対策、これは近年の本当に重要課題であります。前年比で増加にどんどん転じているという現状を踏まえると、こうした税金の使い方を考えた場合に、まずは自転車の安全利用に向けた普及啓発事業、これを最重要として考えるべきでないかなというふうに考えます。
都はこの点についてどういうふうに考えているのかお聞きしたいと思います。
都はこれまで、小学校におけるシミュレーターを活用した自転車安全教室から、免許返納者を中心とした高齢者向けの自転車安全教室まで、さまざまな年代に向けた安全利用の普及啓発を行ってまいりました。
また、自転車販売時には、自転車安全利用のルールや保険加入の重要性等を確認できるルール・マナー確認書を自転車販売店を通じて配布し、自転車の安全利用を促進してまいりました。
さらに、社会全体での自転車安全利用を推進していくため、損害保険会社など民間企業と協定を締結し、連携して普及啓発を実施するとともに、従業員の安全教育に取り組む事業者に向けたセミナーも年に八回開催をしております。
今後も、こうした普及啓発を実施していくとともに、普及啓発活動に自転車点検整備の必要についての内容も盛り込み、自転車の安全利用に向け、都民の意識向上と、整備された安全な自転車の利用の双方を推進してまいりたいと考えております。
また、区市町村の中には、昨年度、自転車安全利用教室の新たな実施とあわせ、都の点検整備助成の対象となる事業を実施したところもございまして、自転車安全利用の普及啓発の推進にも寄与する制度というふうに考えております。
点検整備助成の事業について広めていく、これがまさにこうした安全に対する普及啓発に寄与するということは、当然理解できるわけですけれども、しかしながら、平成三十年度の決算という意味で、三十年度の部分についてをとらまえると、結局のところ、区市町村が何らかの対象事業を行わないと都の助成が交付されないというわけですから、やはり不公平感があったのではないかなというふうに思います。
本来、区市町村助成ではなくて、都が都民への直接補助を行うことを中心に、区市町村の普及啓発事業も助成する形にすれば、都民が居住している区市町村によって不公平が生じることはなかったはずじゃないかなと思います。
そうした意味で、都民提案というのはもちろんなんですが、多分、その提案された都民の方は、ご自身のお住まいのところでそういった制度があって、非常になじみがあったというようなことをもって、大変いいことだからということで提案されたというふうに理解しますけれども、やはり、税金の使い道として不公平かなというふうに思われる、また、ある意味ばらまきじゃないかというふうに思われるというようなことがないように、やはり制度の構築に当たっては工夫をしていただきたいと思います。
着眼点はよい事業でありますけれども、早急な制度立ち上げが必要になったことで、区市町村との綿密な調整を行う時間が足りなかったところであったというふうにも、私は感想を述べておきます。
今後は、こうしたマイナス面にもしっかりと目を向けて、せっかくさまざまな都民の安全対策に積極的に取り組んでいただいているわけですから、しっかりと全都民が効果を感じられるように、そして、しっかりとした効果を生むように取り組んでいただきたいと、そうした制度運営をしていただきたいということを要望して、私の質問を終わりたいと思います。
【都議会リポート】
https://www.gikai.metro.tokyo.jp/record/special-accountiong/2019-14.html