平成25年度 各会計決算特別委員会 第三分科会
平成二十五年度 各会計決算特別委員会 第三分科会
平成二十六年十月十五日(水曜日)
第九委員会室
平成26年10月15日、平成二十五年度 各会計決算特別委員会 第三分科会にて、木造密集地域の不燃化、緊急輸送道路沿いの建物の耐震化、都市再生ステップアップ・プロジェクト(竹芝)について、質問しました。
それでは、都市整備局関連では主に三つの事業についての質問をさせていただきたいと思います。
1.木造住宅密集地域の不燃化
まず最初に、木造住宅密集地域の不燃化についてお伺いいたします。
我が党は、東京を世界で一番の都市に実現のための政策提言の中で、木造住宅密集地域での不燃化の早期実現を求めてきました。
二〇二〇年のオリンピック・パラリンピック開催に向け、首都東京を世界一安全な都市とするには、防災上脆弱な市街地である木密地域の改善が必要なのはいうまでもありません。首都直下地震の切迫性からも木密地域の防災性向上は待ったなしであり、多様な手法を講じて、燃え広がらない、燃えないまちを早急に実現しなければならないと思っています。
そこでまず、都が行っている木密対策について、平成二十五年度の実績をお伺いしたいと思います。
都では、首都直下地震の切迫性や東日本大震災の発生を踏まえ、共同化による建てかえ促進、生活道路や公園等の公共施設整備などの従来からの取り組みに加え、平成二十五年度は市街地の不燃化を一段と加速させるため、不燃化特区制度を事業開始しました。
不燃化特区制度は、特に改善を必要としている地区について、区からの提案を受け、再開発などのコア事業や、従来踏み込んでいなかった戸別訪問などの住民への働きかけ、戸建て建物への建てかえ助成、固定資産税等の優遇などを行うもので、より高い効果が期待できるものでございます。
平成二十五年度は、十二地区を対象として夏までに順次指定するとともに、秋には新たな募集を受け付け、その中から六地区を前倒しして追加指定するなど、不燃化特区の拡大に努めてまいりました。
木密対策は東京の重要課題であり、その加速策でもある不燃化特区をスタートさせたことは高く評価できるものであります。しかしながら、一方で、木密対策の執行状況を見ると、必ずしもよいとはいえない状況でした。
そこで、なぜ執行率が低かったのかをお伺いしたいと思います。
不燃化特区制度では、平成二十五年四月に制度を公表後、事業内容の地元への周知や助成を開始するための準備など、各区が事業に着手するまでに一定の時間を必要としてきました。このため、多くの地区において具体的な取り組みが年度後半以降となり、結果として執行率が低くなりました。
なお、これらの二十五年度から実施している地区におきましては、再開発などのコア事業が進むなど、不燃化特区の効果が徐々にあらわれてきているところでございます。
不燃化特区が事業初年度という特有の事情があったことはわかりました。
しかし、こうした状況があったとしても、整備目標の達成までに残された期間はあと六年しかありません。従来からの木密対策を着実に進めるとともに、不燃化特区制度により取り組みを一層加速させ、目に見える形で成果を出していかなくてはなりません。
そこで、木密対策の推進に当たり、都はどのように取り組んでいるのかをお伺いします。
都では、木密地域における消防、救急活動を確保するための生活道路の拡幅整備や沿道建築物の不燃化促進を区と連携して着実に取り組んでおります。
とりわけ、昨年度から事業開始した不燃化特区においては、戸建て建物への建てかえ助成や専門家の派遣など財政的支援や技術的助言を行うことで、区が実施する地元説明会や戸別訪問、東京商工会議所等と連携した建てかえ相談会の開催など、老朽木造住宅の建てかえなどを促す取り組みを支援しております。また、都市づくり公社や都市再生機構等を活用した用地取得など、防災まちづくりの取り組みも積極的に進めております。
引き続き、区の意見を聞きながら、より使いやすい制度運用を検討するなど、区の取り組みを効果的に後押しすることで木密地域の不燃化を強力に推進し、安全・安心なまち東京の実現を図ってまいります。
木密対策を加速させる不燃化特区は、来年度には整備地域の約四割で取り組むことになります。整備地域は、老朽木造住宅が特に密集し、火災危険度が高く、細街路が多いことから、大地震が発生すれば大規模な火災が発生し、道路の閉塞により避難、救急救援活動が妨げられるとともに、都心部と周辺部の分断を招き、首都機能にも影響を及ぼしかねない地域であります。
このため、避難路の確保のための建築物の耐震化や不燃化特区の取り組み、延焼を食いとめ、避難路となる特定整備路線の整備など、整備地域を対象に重点的、集中的に木密対策を推進する必要があります。
二〇二〇年のオリンピック・パラリンピックの開催に向け、世界一安全・安心な都市東京の実現を目指し、取り組みを期待しています。
2.緊急輸送道路沿いの建物の耐震化について
次の質問に移ります。
次に、緊急輸送道路沿いの建物の耐震化についてお伺いしたいと思います。
緊急輸送道路は、震災時に救急活動や物資輸送などの機能を担う道路のため、沿道建築物の耐震化は極めて重要な課題であり、まずは耐震診断を進めることが必要であります。そのため、都は、平成二十四年度の条例施行により診断の義務化を行い、建物所有者に対し耐震診断を促す取り組みを進めてきました。
そこでまず、特定緊急輸送道路沿道建築物について、平成二十五年度の耐震診断の進捗状況はどのようなものかをお伺いしたいと思います。
条例により耐震診断を義務化いたしました平成二十四年度以降、区市町村と連携した個別訪問や建築士団体と連携したアドバイザーの派遣などによりまして、診断の実施について建物所有者に対する働きかけを強化してまいりました。
また、診断の義務化について説明をし、さまざまな働きかけを行ってきたにもかかわらず、診断を実施しない所有者に対しましては、平成二十五年度から、条例に基づき期限を定めて診断実施の指示を行うとともに、個々の建物所有者の課題に応じた相談に対応するなど、積極的な取り組みを行ってまいりました。
この結果、対象建築物のうち耐震診断に着手しております割合は、平成二十四年度末時点では五六%でありましたものが、平成二十五年度末時点で七八%となっております。
耐震診断については、条例による義務化とともに、区市町村や関係団体と連携した個別訪問などの取り組みにより、実施率が大きく伸びたことは評価できます。
しかし、さまざまな理由により診断を実施しない、あるいは実施できない所有者もいると聞いています。そうした実態も踏まえ、確実に診断を実施してもらえるよう、平成二十五年度にはどのような取り組みを行ったのかを伺いたいと思います。
区分所有者の合意形成に時間を要しております分譲マンションなど、診断実施に至っていない建築物につきましては、こうした所有者が耐震診断を着実に進められますよう、昨年度、条例や法に基づきます診断の実施期限である今年度末まで助成期限を延長いたしました。
なお、本年八月末時点では、耐震診断に着手しております割合は八六%まで上昇しております。
診断実施後は、耐震性が不足していることが明らかになった建築物について、所有者がそこで立ちどまることなく、速やかに改修へと導いていくことが重要であります。中でも分譲マンションについては、改修工事に多額の費用が必要となり、合意形成で苦労している状況であると聞いています。
そこで、特定沿道建築物について、耐震改修へと進めるため、都としてはどのように取り組んでいるのかを伺いたいと思います。
耐震改修の促進に当たりましては、建設業の関係団体とも連携しながら、耐震キャンペーンにおける個別相談会の開催、耐震化セミナーや耐震改修事例見学会を通じました改修工法、事例の紹介など、技術情報の提供を行ってまいりました。あわせて、改修工法の選択や合意形成など、さまざまな課題を抱えます建物所有者に対応するため、耐震化アドバイザーの派遣制度につきまして、平成二十五年度から診断のほか改修も対象に加えました。
また、財政面での支援も重要なことから、平成二十五年十一月の改正耐震改修促進法の施行に伴いまして、国が拡充しました助成制度を速やかに活用し、当該年度内であります一月より、延べ面積五千平方メートル以下の建築物につきまして、改修工事費の助成率を最大十分の九に拡充いたしました。区分所有者の合意形成が困難な分譲マンションにつきましては、規模にかかわらず、ひとしく助成率を最大十分の九とすることとし、今年度から適用しております。
なお、本会議でもご答弁をしたところでございますが、所有者が確実に診断と改修に取り組めますよう、国の支援策の動向にも注視しながら、助成期限の延長につきまして検討しております。
今後とも国や各区市町村とも連携して、より一層の制度の充実を図り、特定緊急輸送道路沿道建築物の耐震診断、そして耐震改修一〇〇%を目指し取り組まれるよう期待をし、次の質問に移ります。
3.都市再生ステップアップ・プロジェクトについて
都市再生ステップアップ・プロジェクトについてお伺いしたいと思います。
東京都では従来から、都市再生緊急整備地域に指定された地域において、本社機能の高度な集積や国内外へのアクセスなどを生かし、国際競争力の向上に資する先進的なビジネス支援機能の導入促進と、外国人が住みやすい居住環境の充実などを目指し、都市の再生に取り組んできました。
私の地元港区においても、現在さまざまなまちづくりが進んでいますが、その中の一つに竹芝地区のまちづくりがあります。
竹芝地区は、平成二十二年にステップアップ・プロジェクトの実施地区として公表され、平成二十四年に事業者公募を行っています。地区内では、公文書館に続き、計量検定所が解体され、本年の十月一日には国家戦略特区の区域会議が開催され、竹芝地区も区域計画素案として公表されるなど、いよいよ都有地を活用した事業の動きが見え始めたところですが、そこで、公募以降の特に平成二十五年度の都の取り組みについてお伺いしたいと思います。
都は、更新期を迎えた都有施設の再編整備を契機として、民間活力により複数の都有地を一体的に活用するとともに、周辺開発を促進することで東京の魅力を高めるまちづくりに取り組んでおります。
竹芝地区では、都有地活用事業とあわせて、にぎわいの創出や公共空間、施設の維持管理等の活動を行うエリアマネジメントの実施を公募要件としたところでございます。
平成二十四年七月に事業者公募を開始しまして、二十五年五月に学識経験者による審査委員会の答申を踏まえ、事業予定者を決定し、その後、事業予定者が特別目的会社を設立した上で、平成二十五年九月に基本協定を締結いたしました。
基本協定締結後は、審査委員会において高い評価を得ました浜松町駅と竹芝ふ頭を結ぶ歩行者デッキや都有地内の施設整備などの実現に向け、事業者に対して関係機関との協議の支援や技術的助言を行っているところでございます。
ただいまの答弁で、二十五年度における取り組みがよくわかりました。さまざまな施設を整備していくための準備には都からの支援が大きな力になると思います。引き続き支援を行い、着実に進めていただくようお願いをいたします。
次に、竹芝地区に整備される歩行者デッキについて伺います。
本事業の特徴といえる、浜松町駅から竹芝通りを縦断し、竹芝ふ頭までをつなぐ歩行者デッキは、本地区のまちづくりの目標である魅力ある都市環境の創出に寄与し、地域に貢献する施設であると考えますが、その意義と効果及び整備後の維持管理についてお伺いしたいと思います。
竹芝地区は、竹芝ふ頭や四季劇場、旧芝離宮恩賜庭園等の魅力的な資源があるにもかかわらず、首都高速道路や海岸通りにより、にぎわいが分断されています。
事業者から提案のあった歩行者デッキは、安全快適な歩行者空間として、地区の回遊性のみならず、島しょの玄関口である竹芝ふ頭へのアクセス向上に資するとともに、災害時の避難動線としての機能も有しております。
また、歩行者デッキを都有地に整備される建築施設内のガレリア空間や多層型のテラス等とつなぐことで、浜松町駅の開発やふ頭でのイベントとも連携し、竹芝地区全体のにぎわいの向上にも資するものであります。
このように、竹芝地区全体の魅力を高める歩行者デッキの維持管理は、エリアマネジメントの事業運営組織が実施することとしております。
歩行者デッキの設置は大胆な取り組みであり、実現に向けてはご苦労も多いかと思います。しかしながら、地元へ大きな効果をもたらすことが強く期待できる施設です。ぜひともデッキを実現し、竹芝地区のにぎわい向上につなげてほしいと思います。
そこで、竹芝地区で取り組むエリアマネジメント活動についてお伺いします。
歩行者デッキも、エリアマネジメント活動の中で地域全体として管理されるとのことですので、竹芝地区のまちづくりにおいては、エリアマネジメントは欠かせないものと考えますが、基本協定締結後の取り組みについてお伺いします。
公募要件であるエリアマネジメントの推進のため、事業者提案では、地権者等によるまちづくり協議会においてその活動内容等を議論し、事業者が設立する事業運営組織が中心となってその活動を実施することとしております。
基本協定締結後は、事業者は地元と調整し、平成二十六年三月に地域の魅力を探ることを目的としたシンポジウムを開催しており、二十六年九月には都も参画したまちづくり協議会が設立されたところでございます。さらに、今後はエリアマネジメント活動を担う事業運営組織の設立が予定されております。
都は地元区と連携し、まちづくり協議会と事業運営組織によるエリアマネジメント活動を支援してまいります。
竹芝地区は、来るべき二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック前の平成三十一年度に建築工事が完了する計画と聞いています。明るい未来が予見できるこのプロジェクトをぜひ成功させていただくとともに、都では今後も公有地を活用し、積極的にまちづくりへ取り組んでいただくようお願いをして、質問を終わります。
【都議会リポート】
https://www.gikai.metro.tokyo.jp/record/special-accountiong/2014-09.html