平成25年 経済・港湾委員会(12月10日)

経済・港湾委員会

平成二十五年十二月十日(火曜日)
第八委員会室

平成25年12月10日、経済・港湾委員会にて、東京都立産業貿易センターの利用実態、再整備の手法、浜松町館などの具体的な改善方法について、再整備期間中の利用者への影響、等について質問いたしました。


■東京都立産業貿易センターについて

1.東京都立産業貿易センターの稼働率や利用実態、利用者の声について

〇菅野委員

 それでは、私からは、東京都立産業貿易センターについて伺いたいと思いますが、まず、都内の経済にも、いよいよ景気回復の動きが見え始めたところですが、こうした動きを中小企業の業績向上につなげていくためにも、企業同士の交流を通じて、さまざまなビジネスチャンスを生み出していくことが重要だと思います。
 産業貿易センターは、港区の浜松町館と台東区の台東館の二館体制で展示室や会議室の貸し出しを行っており、中小企業の販路開拓はもとより、技術や情報の交流の場として、これまで中小企業の振興と東京の経済の発展に大きく貢献してきたと考えています。
 そこでまず、この産業貿易センターがどのように利用され、そして中小企業の皆さんにとってどのように役に立っているのか、稼働率や利用実態、利用者の声について伺いたいと思います。

○十河商工部長

 都立産業貿易センターの平成二十四年度の展示室稼働率は、両館とも七割を超えており、数多くの中小企業や中小企業団体に利用されております。
 また、製造業、卸売業、小売業、サービス業など、さまざまな業種の企業や団体が、展示会や商談会、セミナーなどの幅広い目的で活用をしております。
 利用者へのアンケート結果によりますと、施設の満足度について、九割を超える主催者から満足との声をいただいており、特に、適切な展示室の規模、料金の安さ、良好な立地環境という点が評価されているなど、都内中小企業の販路開拓などに役立つ施設として、多くの利用者から好評を得ているところでございます。

2.産業貿易センターの再整備に当たっての基本的な考え方と整備手法について

〇菅野委員

 ただいま、産業貿易センターの七割という高い稼働率、そして九割を超える満足度についての答弁がございましたが、これは、現在の指定管理者でもある東京都中小企業振興公社が、中小企業支援機関ならではのノウハウと経験を生かして、さまざまな利用者のニーズにきめ細かく対応しながら、質の高いサービスを提供してきた成果であると考えられます。
 私の地元の浜松町館には、港区立商工会館も併設されていることから、私も昔からたびたび足を運んでおりますけれども、先日も、訪問した際には、ちょうど精密部品を扱う展示会が行われておりました。
 その主催者の方から、なるべく経費をかけずにすぐれた企業を集めるのにも、この浜松町館は理想的な会場とのお話がありました。
 また、東京モノレールの浜松町駅に近いということで、来場される方にとっての利便性の高さ、これも大きな魅力だというようなお話もありまして、浜松町館の長所が展示会のニーズにぴったりと合い、企業や技術のマッチングに大きく貢献していることを改めて実感したところであります。
 しかしながら、浜松町館は開設してから三十年、そして台東館は四十四年が経過し、いずれの館も、空調や電気などの設備がかなり老朽化しているように見えました。空調も、三十年前の古い設備では決して効率がよいとはいえませんし、また、電気設備も消費電力が大きいと思われますので、設備を更新して省エネやコスト削減を図ることは喫緊の課題であると思います。台東館の特に給湯、空調のボイラーなどは、拝見した範囲でも、現在では部品調達も大変厳しいんじゃないかというような、年代物というような印象を受けました。
 そういった意味で、このように産業貿易センターの早期の改修が必要な時期、ちょうど更新期を迎えている中で、都は今回、浜松町館を建てかえて、台東館は改修を行って大規模な基幹設備の更新を行うこととしています。
 そこで、今回の産業貿易センターの再整備に当たっての基本的な考え方と整備手法について伺っておきたいと思います。

○十河商工部長

 産業貿易センターの再整備に当たりましては、基幹設備を一新し、省エネやコスト削減など施設運営の効率化を図るとともに、集客施設としての利便性を向上し、より魅力的な施設となるよう改築、改修を行ってまいります。
 整備手法につきましては、浜松町館は、竹芝地区における都有地を活用した地区開発事業、都市再生ステップアップ・プロジェクトの一環として、民間事業者が複合施設を整備した後、都が浜松町館部分の施設を買い取ることといたしました。
 台東館につきましては、現在も強度を保っている建物の躯体を残し、短期間の休館で対応可能な改修により整備することといたしました。

3.浜松町館、台東館について、どのように改善を行っていくのか

〇菅野委員

 こうした再整備により、老朽化した施設を新しくして、また、省エネやコストを削減することはもちろん重要だと思います。
 しかし、今、ご答弁にもありましたとおり、利用者の利便性をより向上させ、展示施設としての価値、そして魅力を高めていくことも重要と思います。
 特に竹芝地区は、今後、ステップアップ・プロジェクトにより、ビジネスの拠点としても大いに発展が期待されることから、この地区で再整備される浜松町館の機能についても十分に検討を行い、利用満足度の高い施設とする必要があると思います。
 そこで、利用者サービスの向上という観点から、具体的にどのように改善を行っていくのか、浜松町館、台東館、それぞれについてお考えを伺いたいと思います。

○十河商工部長

 再整備における利便性の向上につきましては、台東館では、荷物用エレベーターの搬出入能力の引き上げや、展示室の間仕切りを設けるなどの改良を予定しております。
 また、改築を予定している浜松町館につきましては、展示室内に柱を設けない構造とすることによりイベント会場としての制約を極力減らしたり、展示室や会議室、控室などを機能的に配置するなど、利用者がより使いやすい施設となるよう設計上の工夫を行ってまいります。

〇菅野委員

 ぜひ、利用者のニーズ把握もしっかりと行っていただいて、付加価値の高い施設として整備されることを大いに期待したいと思います。

4.中小企業の活動に支障を及ぼさないようにいかに再整備を行うか

〇菅野委員

 一方で、大規模な工事を行うとなると、どうしても施設を使用できなくなる期間が発生してしまうことになります。
 展示会や商談会は、毎年継続して開催することによって定着をし、業界の中で知名度が高まることでイベントの価値が向上するという面があります。また、出展企業にとっても、自社の活動を定期的にPRし、取引を活性化させる場として、継続開催されるイベントの存在は大変重要であると思います。
 そのため、再整備期間にあっても、中小企業の活動に支障を及ぼさないように、きめ細やかな対応を行うことが必要であると考えますが、お考えを伺いたいと思います。

○十河商工部長

 再整備に当たりましては、休館による利用者への影響を最小限にとどめることが必要でございます。
 そのため、浜松町館と台東館の両館が同時に休館することのないよう、再整備のスケジュールを設定いたしました。
 また、今回の指定管理者候補者からは、休館中の利用サービスや運営再開に向けた取り組みにつきまして、運営中の館へのきめ細やかな誘導や改修後の施設のPRなど、これまで培ったノウハウを生かした効果的な方策が提案されております。
 今後、都と指定管理者とが密接に連携し、利用者である中小企業や中小企業団体の取り組みを後押しできるよう、適切な運営を行ってまいります。

〇菅野委員

 最後に、産業貿易センターの再整備に向けて、まず、相次ぐ休館を迎える産業貿易センターの運営に当たっては、中小企業振興公社がこれまで指定管理者として培ってきたノウハウと実績を最大限に活用して、着実かつ円滑に行っていただくようにお願いをしたいと思います。
 また、産業貿易センターの再整備に当たっては、今まで以上に、地域の顔としての魅力と価値を生み出していくことが重要と考えます。より一層の工夫をお願いいたします。
 そして、今後、活気あふれる業務、商業の拠点として生まれ変わる竹芝地区において、新しい浜松町館が、東京の産業振興の一翼を担うにふさわしい、機能的かつ魅力的な施設となるよう要望して、質問を終わります。


【都議会リポート】

https://www.gikai.metro.tokyo.jp/record/economic-port-and-harbor/2013-14.html