平成28年 経済・港湾委員会(11月17日)

経済・港湾委員会

平成二十八年十一月十七日(木曜日)
第八委員会室
午後一時開議

平成28年11月17日、経済・港湾委員会にて、工事用船舶の航行安全対策に関連して、海上工事の状況、安全確保の対策と取り組み、海上保安庁及び各事業者等との連携について質問いたしました。


■工事用船舶の航行安全対策について

1.中央防波堤埋立地の西側周辺において実施している海上工事について

〇菅野委員

 私からは、工事用船舶の航行安全対策について伺いたいと思います。
 先週、博多で道路の大規模な陥没事故がありました。復旧の速さを称賛する報道がすごく目立つわけですけれども、しかしながら、犠牲者こそ出なかったわけですが、事故によって電気やガスが停止するなど、住民生活や飲食店、オフィス業務に多大な影響が出たことは事実であります。事故原因として、トンネル工事に対する陥没対策が万全でなかった可能性があるといわれています。
 東京港においても、船舶の大型化や取扱貨物量の増大に対応するため、先ほど来、多くの委員の方からのご質問にもありましたけれども、多くの工事が行われておりますけれども、万が一にも事故によって都民生活や経済に影響を及ぼすことないよう、安全対策に万全を期すことが求められていると思います。
 とりわけ二〇二〇年までに整備完了を目指している臨港道路南北線や、大型クルーズ船に対応した新客船ふ頭の整備、さらには外貿コンテナふ頭の新設などの事業は、規模が大きく、長期にわたって海上で行う工事であることから、専門的な技術を要すると聞いています。また、場所が中央防波堤埋立地の西側と大井ふ頭の間の限られた海域に集中していて、工期も重なっています。
 都は、こうした難しい事業環境を乗り越え、工期までに確実に完成されなければならないと思いますけれども、そのためにも、さまざまな安全対策を講じ、ふくそうする海上工事を遅延なく進めていくことが重要だと考えます。
 そこで、本日は、その具体的な内容について伺っていきたいと思います。
 まず、先ほど申し上げました中央防波堤埋立地の西側周辺において実施している海上工事には、どのようなものがあるのか伺いたいと思います。

○原港湾整備部長

 都は、東京港の機能の充実強化を図るため、主に中央防波堤埋立地の西側から大井ふ頭や青海ふ頭に通じる第一航路及び第二航路の周辺海域におきまして、二〇二〇年の完成を目指し、国等と連携しながら大規模な海上工事を実施しているところでございます。
 具体的には、有明地区の十号地その二ふ頭と中央防波堤内側埋立地とを海底トンネルで結びます臨港道路南北線を、国の直轄事業により整備を進めてございます。
 また、第一航路の北側の臨海副都心に隣接して整備する新客船ふ頭につきましては、世界最大のクルーズ船に対応した岸壁やターミナルビル等を整備するものであり、臨港道路南北線とともに、来年度、本体工事に着手するなど、工事が本格化することとなっております。
 中央防波堤外側埋立地に整備を進めている外貿コンテナふ頭のY1、Y2バースにつきましては、コンテナを積みおろしする大型クレーンを海上から搬入し設置するとともに、停泊地のしゅんせつ工事を行い、来年の供用開始までに完了させる予定となってございます。
 いずれの事業につきましても、海上工事や資材搬入のために大型で多様な工事用船舶を数多く使用するものであり、東京港の主要航路である第一航路等を多数の船舶が航行しますことから、来年度から二〇二〇年の間は周辺海域の錯綜が見込まれているところでございます。

2.東京港における船舶の安全を確保するためのとりくみについて

〇菅野委員

 海上からの工事が複数あって、規模も大きいということで、第一航路付近では相当数の工事用船舶が航行するということであります。しっかりと海域の安全を確保して、物流への影響や工事に支障を来さないように万全の取り組みが必要であると思います。
 第一航路、第二航路のちょうどそのあたりというのは、これを見ますと、六百メーターとか七百メーターの航路の幅しかないみたいですから、結構狭いなという感じも印象を受けたんですけれども、そういった意味で、東京港では船舶の安全を確保するために、通常、どのような取り組みを行っているのか伺いたいと思います。

○原港湾整備部長

 船舶の航行安全につきましては、海上保安庁が灯台や信号、海上の標識である灯浮標など航路を示す施設等を設置するとともに、衝突回避方法等の航法や、汽笛、灯火などの設置すべき設備など、船舶が遵守すべきルールを定めております。
 また、コンテナ船等の一定規模以上の大型船舶に対しましては、航路への入出航の許可を行う、いわゆる航行管制を行っております。
 港湾管理者である都は、東京港の岸壁等を利用する五百総トン以上の一般船舶の航行情報の収集や位置情報を把握するとともに、その情報に基づきまして、各船舶の入出航の伝達など、船舶との通信を行うポートラジオにより運航支援を実施しているところでございます。

3.工事区域に一般船舶が立ち入りしないための対策について

〇菅野委員

 船舶の航行については、海上保安庁や都によって海域の安全を確保しているということでありますけれども、工事用船舶というのは五百総トン未満のものが多いんじゃないかと思うんですが、そういった意味では、現状では対象としていないのではないかなというふうに思います。
 海上で工事を実施する際には、工事区域に一般船舶が入り込まないようにいろいろと対策を行う必要があると思いますけど、どのような対策を実施しているのか伺いたいと思います。

○原港湾整備部長

 都は、海上工事を実施する際には、通常、工事の作業区域などを示す灯浮標を設置するとともに、付近を航行する船舶の誘導等を行う警戒船を配置するなど、海上工事に伴う事故の未然防止に努めているところでございます。
 また、大規模な工事を実施する場合には、事前に海上保安庁や学識経験者、海事関係者で構成する船舶航行安全対策検討委員会を設置し、航行安全対策を含めた工事の施工方法等を検討した上で、必要な対策を実施するなど、安全対策を強化しているところでございます。

4.工事用船舶が急増した場合のとりくみについて

〇菅野委員

 今、海上工事を行う際に、別途、安全対策をとられるということのご説明がありましたけれども、あくまでも通常の工事の場合であって、今回のように海上工事が幾つもふくそうして工事用船舶が急増することが予測されるという場合に、取り組みというのをより一層充実する必要があると思うわけでありますが、そこで、それに対しての都の取り組みはどうなのか伺いたいと思います。

○原港湾整備部長

 東京港内における船舶の航行安全を確保し、ふくそうする海上工事を円滑に進めていくためには、増加する工事用船舶に対し、的確な運航管理を実施することが重要でございます。
 このため、都は、これまでの取り組みに加え、先ほど申し上げたポートラジオの仕組みをさらに活用し、今回実施する大規模工事の船舶を新たに対象に追加しまして運航支援を行ってまいります。
 具体的には、新たに対象とする工事用船舶について、GPSを活用して船舶の位置を把握し、その情報に基づき、各船舶へ入出航の可否等の伝達を無線システムにより行ってまいります。
 また、第一航路の周辺に新たに監視カメラを増設いたしまして、船舶等の航行状況を的確に把握し、よりきめ細かな運航支援を行ってまいります。
 こうした工事用船舶と一般船舶とを一体的に運航支援することは、全国初の取り組みとなってございます。

5.海上保安庁及び海上工事を担う事業者等との連携について

〇菅野委員

 今回のように海上工事がふくそうする東京港内では、航行安全を確保するために、ポートラジオの仕組みを活用して工事用船舶の運航支援を行うということを伺いました。全国で初めてということで、まさに東京ならではの機動力と技術力を生かした取り組みであると思います。
 しかし、勝手な想像ながら、大井信号所にあるんでしょうけれども、そのポートラジオの方たちも大変忙しくなるんじゃないかと思うわけで、そういった意味では、その辺の体制も含めて、ぜひとも確実に実施していただきたいと思います。
 こうした取り組みには、海上保安庁や海上工事を担う事業者等との連携を深め、実効性を高めることが重要であると考えます。都の具体的な取り組みがあれば、伺いたいと思います。

○原港湾整備部長

 ご指摘のとおり、新たに行います工事用船舶を含めた船舶の運航支援の実効性を高めるためには、海上保安庁や海上工事を担う事業者等とのより一層の連携が不可欠でございます。
 このため、都は本年度、海上保安庁を初め、国土交通省や大規模工事を施工する事業者等で構成する、中央防波堤地区工事連絡協議会を新たに設置いたしました。
 この協議会は、中央防波堤周辺地域で実施する複数の大規模工事を連携して円滑に進めるための初めての取り組みでございまして、船舶の運航支援内容や遵守事項等を検討し、その周知徹底を図ることにより、航行安全を確保する役目を担うものでございます。
 また、工事用船舶の運航管理者や船員等を対象に航行安全の講習会を実施するなど、現場における安全への意識啓発を強化してまいります。
 こうした取り組みを通じまして、海上工事の航行安全に万全を期し、ふくそうする整備事業を工期までに完成するよう、全力を挙げて取り組んでまいります。

〇菅野委員

 二〇二〇年が目前に迫りつつある中で、工事を着実に進めていくためにも、安全対策は非常に重要であると申し上げました。
 複数の大規模工事を横串にして連携させる取り組みも初めてということで、大規模な海上工事がふくそうするという状況の中、事故を起こすことなく、何としても確実にやり遂げるという熱意を感じました。
 現在取り組んでいる整備事業は、東京港の機能強化を図る上において、いずれも重要であります。二〇二〇年に向け、さらに精力的に取り組んでいただくよう要望いたしまして、私の質問を終わります。


【都議会リポート】

https://www.gikai.metro.tokyo.jp/record/economic-port-and-harbor/2016-14.html