平成29年度各会計決算特別委員会 第三分科会

平成三十年十月十九日(金曜日)
第九委員会室
午後一時開議

平成30年10月19日、東京都議会 平成29年度各会計決算特別委員会 第三分科会にて質疑を行いました。

■臨港道路南北線の工事について

1.臨港道路南北線整備工事の進捗状況について

○菅野委員

 それでは私から、最初に、先ほども質問に出ていましたけれども、臨港道路南北線の整備についてお伺いしたいと思います。
 中央防波堤外側コンテナふ頭からの貨物を円滑に輸送していくためには、臨港道路南北線の整備を推進する必要があります。
 我が党は、臨港道路南北線について、事業開始の平成二十六年以前より、その必要性を訴えて整備推進を主張してきました。また、南北線は、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会の会場へのアクセスルートとしても重要な役割が期待されています。
 完成期限まで残り二年を切り、工事がいよいよ本格化していると思います。先日も、東西水路を横断する大規模な橋梁の架設工事が報道されていましたが、この橋梁部の架設は、南北線の工事の中でも核となる重要な工事であると聞いています。
 南北線は、トンネル部と橋梁部で構成され、国はトンネル部を、そして都は橋梁部を担うとのことですが、橋梁部は六つもの橋梁を架設する必要があり、構造も複雑であると聞いています。
 そこで、都が担う橋梁部の工事における平成二十九年度と現在までの進捗状況について、まずお伺いしたいと思います。

○原港湾整備部長

 臨港道路南北線の橋梁部は、東西水路を橋脚なしで結ぶ約二百五十メートルの橋梁と、東京港臨海道路に連絡するランプ橋梁から成る合計六橋梁で構成されておりまして、大規模かつ複雑な構造となってございます。
 平成二十九年度の進捗でございますが、東京港臨海道路部や東西水路部を横断する橋梁につきまして、工場で橋桁の製作を進めるとともに、現地でその橋桁の組み立てを推進したところでございます。その後も橋桁の組み立てを進め、東京港臨海道路部は本年六月、東西水路部は本年八月に、架設作業を完了したところでございます。
 引き続き、東京港臨海道路に連絡する四橋梁の架設と舗装や照明等の工事につきまして、二〇二〇年までに完成させるべく着実に整備を進めてまいります。

2.工事関係車両の増加に伴う渋滞への対策について

○菅野委員

 工事については、まずは順調に進んでいるということがわかりました。引き続きしっかりと整備を進めてほしいと思います。
 ところで、当該整備が行われている十号地その二埋立地及び中央防波堤地区は、東京二〇二〇大会関連も含め、今、数多くの工事が進められ、工事関係の車両が増加傾向にあると聞いています。
 そこで、物流への影響を軽減させる取り組みとして、臨港道路南北線の周辺において、工事関係車両の増加に伴う渋滞対策を実施していると思いますが、対策の取り組み状況について伺いたいと思います。

○原港湾整備部長

 臨港道路南北線におきましては、国がトンネル工事を、都が橋梁工事を推進するとともに、その周辺におきまして、海の森水上競技場など東京二〇二〇大会に向けた多くの関連工事を実施しており、工事関係車両も増加してございます。
 これまで、物流への影響を軽減させる取り組みといたしまして、工事関係車両は原則、港湾物流車両等により渋滞しやすい交差点を通過しない迂回ルートの走行や、交通量の少ない夜間輸送または海上輸送への転換などの徹底を図っているところでございます。
 今後とも、国等の関係機関と連携し、物流への影響を最小限にとどめるよう、工事関係車両の増加に伴う渋滞対策に全力を挙げて取り組んでまいります。

3.関連工事の工程管理の実施状況と成果について

○菅野委員

 工事関係車両の増加が物流へ与える影響、これを最小限にとどめるというのは極めて重要なことであります。臨港道路南北線などの工事関係車両の増加に伴う渋滞対策を引き続きしっかりと実施するよう強く要望しておきます。
 続いて、中央防波堤地区では、臨港道路南北線だけでなく、海の森水上競技場の整備、さらには東西水路内の中潮橋などの撤去に伴う関連工事も行われています。臨港道路南北線とその周辺で行われる関連工事との調整は、南北線を二〇二〇年までに完成させるためにも不可欠なものであり、関連工事との工程管理というのが極めて重要です。
 そこで、工程管理の実施状況とその成果について伺いたいと思います。

○原港湾整備部長

 臨港道路南北線を二〇二〇年までに確実に完成させるためには、海の森水上競技場など周辺工事と調整を図りながら工事を進めていく必要がございます。
 このため、庁内関係局や国土交通省、警視庁、海上保安部等の関係機関で構成する中央防波堤地区関連工事等連絡調整会議を設置し、関連工事間の工程管理を厳格に行っております。
 これまで、工程管理の取り組みとして、その調整会議のもとに、南北線の周辺で行われる関連工事の工程を集約した工程表を作成し、各工事の進捗におくれを与えないよう、綿密な工程調整を行ってきてございます。その結果、中潮橋などの撤去工事を本年五月までに完了させ、その後の東西水路を横断する橋梁の架設を、当初の予定どおり本年八月に完了させることができました。
 今後も、連絡調整会議を活用して関係機関と連携しながら、関連工事間の工程管理を厳格に行い、着実に工事を推進してまいります。

■離島と本土とを結ぶ航空路について

1.昨年度拡充した島民割引制度について

○菅野委員

 今ご答弁いただきましたように、臨港道路南北線事業の整備というのは、東京港の機能強化に向けて非常に重要な取り組みであります。確実に完成されることを強く要望して、次の質問に移りたいと思います。
 次に、離島と本土とを結ぶ航空路について伺います。
 将来にわたって離島での暮らしを守っていくには、住民が安心して定住できるよう環境整備をしていくことが必要であり、その中でも、離島と本土とを行き来する交通アクセスの安定化は不可欠であります。
 とりわけ、より迅速に移動できる離島航空路は、島の住民の安全と安心を確保する上で重要な役割を果たしており、これまでも都は、伊豆諸島への航空運賃水準を維持し、島民の利便性向上を図るために、航空会社に対するさまざまな支援を行ってきたと聞いています。
 そうした中、昨年四月に、我が国の領海や排他的経済水域の保全等を図る目的で、有人国境離島法が施行されました。これを受け、都は、新たに伊豆諸島南部地域にある八丈島及び三宅島と、それぞれ本土とを結ぶ離島航空路の島民割引運賃の拡充を図ったところであります。
 そこで、有人国境離島法により昨年度拡充した島民割引制度について、改めてその内容を伺います。

○松本島しょ・小笠原空港整備担当部長

 昨年四月、有人国境離島法が施行されたことに伴いまして、都は、八丈島空港及び三宅島空港と本土とを往復する定期航空路の島民運賃割引を拡充する制度を、航空事業者との協議を経て創設いたしました。
 具体的には、普通片道運賃から約四〇%を割り引く新たな島民運賃を設定し、三宅島-調布路線を昨年八月から、八丈島-羽田路線は昨年九月から制度を開始しているところでございます。

2.昨年度の島民割引の実績について

○菅野委員

 航空路では、三宅島-調布間は五十分、八丈島-羽田間は五十五分で行き来することができます。
 例えば、島の住民の方が本土の病院に通われたりする際に、島民割引により低廉な航空運賃で短時間で移動できることは、島の住民が安心して暮らす上で非常に意義深いことであります。しかし、実際にどの程度この制度が利用されているのか、確認していく必要があります。
 そこで、昨年度の航空運賃の島民割引の実績について、利用人数や地元の反応がどのようなものか伺いたいと思います。

○松本島しょ・小笠原空港整備担当部長

 伊豆諸島南部地域にございます八丈島と本土との移動におきましては、航空機を利用する割合が約九割と極めて高く、また、三宅島と本土との移動手段に航空機を利用する割合も三割を超え、年々増加する傾向にございます。
 そのうち、島民割引運賃の利用状況でございますが、三宅島-調布間では、二十九年八月から三十年三月末までの八カ月間で述べ八千七百人ほど、八丈島-羽田間におきましては、二十九年九月から三十年三月末までの七カ月間で延べ一万四千七百人ほどの利用がございました。
 地元町村等からは、本制度により、島民の経済的な負担が軽減され、本土への移動手段の選択肢がより広がったと評価する声を聞いております。
 都といたしましては、本制度が島民の安定的な生活を守る上で重要な役割を果たしていると認識してございます。

3. 伊豆諸島北部地域の航空路における島民割引の導入状況と、これまでの成果について

○菅野委員

 それぞれの利用人数が示されましたが、例えば、平成二十九年における三宅村の人口は二千五百人、八千七百人の利用があったということでしたね。八丈町では七千五百人の人口ですから、さっき一万四千七百人が利用したということで、単純計算ではありますけれども、利用人数を人口で割り返すと、三宅村では住民全員が三・五回、八丈町では住民全員が二回、島民割引を利用していることになります。これは、年度途中に制度が施行された中での利用実績としては、おおむね良好な結果であろうかと思います。また、制度の出だしとしても、地元から評価する声があったということは、大変結構なことだと思います。
 しかし、都はこれに満足することなく、引き続き地元の意見を聞きながら、毎年、より多くの方が島民割引制度を利用できるよう、一層の努力をしていただきたいと思います。
 そして、伊豆諸島全体の振興の観点から、これまで取り上げてきた伊豆諸島南部地域だけではなく、大島、新島、神津島といった伊豆諸島北部地域と本土とを結ぶ航空路についても、あわせて考えていく必要があります。
 そのため、本年の第一回都議会定例会の我が党の一般質問や経済・港湾委員会での質疑において、北部地域にも島民運賃割引を導入することを都に求めたところであります。都からは実施するとの答弁をいただいております。
 そこで、伊豆諸島北部地域の航空路における島民割引の導入状況と、これまでの成果について伺います。

○松本島しょ・小笠原空港整備担当部長

 伊豆諸島北部地域と本土とを結ぶ航空路は、伊豆諸島南部地域と同様に、島民生活の安全・安心を確保する上で極めて重要でございます。
 このため、都は、本年四月から、特定有人国境離島地域に指定されていない北部地域の大島、新島、神津島と、それぞれ本土とを結ぶ航空路におきましても、補助を行うことといたしまして、普通片道運賃から約四〇%を割り引く新たな島民割引制度を導入いたしました。
 航空路運賃の島民割引を大幅に拡充したことによりまして、三つの路線の島民利用者数は、本年四月から九月までの半年間で、前年同期日と比較して三割以上ふえるなどの効果が上がっているところでございます。

○菅野委員

 拡充した島民割引制度は緒についたばかりでありますが、既に効果も出てきていますので、引き続きしっかり取り組んでいただきたいと思います。
 一方で、決算の観点から、より効果的に施策を進めていくには、単に割引率の話だけではなく、制度そのものの使い勝手をよくしていくことも考えなければなりません。
 例えば、本年三月の経済・港湾委員会においても取り上げましたが、空港が設置されていない利島や御蔵島の住民の方が航空路を利用する際に、船やヘリコプターとの乗り継ぎを考慮して、一つの航空路だけではなくて、複数ルートの航空路を選択できるようにすべきです。
 都からは、複数ルートの導入に向けて関係機関と調整するとの答弁をいただいておりますが、その取り組みを着実に進めていただき、引き続き、島の住民の利便性に可能な限り配慮した、利用しやすい制度への改良を重ねていただくよう要望しまして、この質問を終わりたいと思います。

■船舶の安全な航行の確保について

1.東京港における船舶の安全航行確保の取り組みについて

○菅野委員

 それでは次に、船舶の安全な航行の確保について伺います。
 私は、平成二十六年第一回定例会の経済・港湾委員会で、船舶への通信業務を行うポートラジオの拠点である大井信号所の建てかえについて質疑を行いました。その際、ポートラジオの業務は、東京港に入出港する船舶の運航状況の把握や関係者間の連絡調整だけではなく、船舶の航行が重なる場合における危険防止の調整業務を行っているとお聞きしました。
 その当時から、東京港は首都圏の物流拠点であり、行き交う船舶の航行が多い港でありますが、現在は加えて、臨港道路南北線などの建設に伴う工事用船舶も航行しています。今後は、コンテナY2バースや新客船ふ頭のオープンが控えており、東京港の第一航路ではコンテナ船や大型客船などの航行が増加し、これまで以上に多くの船舶でふくそうすることになり、ポートラジオの役割は一段と大きくなります。
 対象の船舶が大型化する中にあっても、東京港の安全を確保することは不可欠であり、そのためには、ポートラジオの運営体制をハード、ソフトの両面で強化することが必要です。
 そこで、大井信号所の建てかえ、その後の状況も含め、東京港における船舶の安全航行の確保に関して何点かお聞きします。
 まず、確認の意味を込めて、東京港における船舶の安全航行確保の取り組みについて伺います。

○蔵居港湾経営部長

 国は、港則法との名称の法律に基づきまして、海上保安部が船舶の交通規制や取り締まりを実施しております。都は、港湾法に定める港湾管理者として、東京港に入出港する船舶の動静を入港届により把握するとともに、港湾施設への着岸、離岸に係る水域利用調整を所管しております。
 都は、こうした入出港船舶の位置や運航情報の把握のため、ポートラジオと呼ばれます無線局を設置しております。ポートラジオでは、通信士が入出港する船舶との通信を行い、円滑かつ安全な航行ができるよう、日本語及び英語で情報提供を行っております。
 特に、早朝や夕刻は船舶の入出港が重なり、船舶同士のふくそうが発生することから、東京港では独自のサービスとして、ポートラジオを活用した港内の交通整理、誘導を行い、船舶事故の未然防止に努めております。

2.大井信号所の建て替え工事の平成二十九年度実施状況について

○菅野委員

 海上保安庁が港則法に基づき船舶の交通規制等を行い、都は港湾管理者として、船舶の入出港に係る情報をポートラジオを通じて船舶に情報提供することで、船舶の安全な航行をサポートしていることを再確認させてもらいました。
 こうした船舶の安全航行をサポートする事業は大変地味でありますが、港湾の管理運営を推進していく上では重要な事業であると認識しています。
 そこで、ポートラジオの運営を行う大井信号所の建てかえ工事に関する平成二十九年度の実施状況を伺います。

○蔵居港湾経営部長

 大井信号所は、海上保安庁が所管する船舶用の信号板が併設されるなど、船舶の安全航行を図る上で重要な施設であります。
 しかし、昭和五十四年に建設された施設で、約四十年が経過し、建物の経年劣化や狭隘化が著しいことから、平成二十八年度から建てかえ工事を開始し、二十九年度には、本体工事のほか、電気や空調などの設備工事に着手しました。
 なお、大井信号所の建てかえ工事は本年九月に竣工し、十月から新たな施設での運用を開始しております。

3.大井信号所の建てかえによる施設の充実度について

○菅野委員

 今の答弁で、大井信号所が既に竣工して、今月から新しい施設での運用が開始されたということを確認しました。
 東京港は、貨物量が堅調に増加するとともに、入出港する船舶も大型化して、主要航路を往来する船舶もさらにふくそうしてくることから、より一層、船舶の航行安全対策の必要性が高まることになります。
 先ほども述べたように、ポートラジオの体制強化に向けて施設を更新する際は、老朽化に伴う単なる建てかえではなく、機能の充実を図ることが重要であると指摘したところであります。
 そこで、大井信号所の建てかえで施設がどのように充実したのかを伺いたいと思います。

○蔵居港湾経営部長

 今回の建てかえ工事で施設の充実を図った点は、大きく二点です。
 一点目は、監視体制の強化であります。
 東京港は、貨物船や工事用船舶など多数の船舶がふくそうしていることから、迅速で正確な情報提供が重要であります。
 このため、大容量で処理速度の速いネットワークサーバーを導入し、多数の船舶の位置を瞬時に処理するといった迅速な情報提供が可能な体制を構築しました。
 また、監視カメラのモニターの大型化により、船舶や港湾施設の監視体制の強化を図るとともに、監視する方向の窓を広げることで、目視によるいわゆる見やすさ、視認性も向上させております。
 二点目は、非常用発電機の設置による防災機能の強化です。
 新施設では、非常用発電機を設置し、最低三日間は情報通信機器全ての稼働が可能となりました。なお、風水害の対策として、非常用発電機は建物の二階部分に設置しております。

4.今後の船舶の安全航行対策について

○菅野委員

 大井信号所の監視機能や非常用発電機が設置されて、機能が充実されたことで、災害時などにおいても船舶への通信が担保されたことは、大変有意義なことであります。
 こうしたハード面の強化が行われたことがわかりましたが、こういった取り組みを生かし、今後どのように船舶の安全航行対策を進めていくのか伺いたいと思います。

○蔵居港湾経営部長

 コンテナふ頭Y2バースや新客船ふ頭の新たなふ頭に入出港する船舶の航行安全対策につきましては、東京港の港湾関係者で構成する船舶航行安全対策検討委員会において対策の検討を行い、ふ頭、バースの運用基準や水域利用調整のガイドラインを策定してまいります。
 これらの新たな運用基準やガイドラインを含めて、ポートラジオによる情報提供や入出港に係る水域利用調整を確実に行うことで、港内における安全な船舶航行を確保していきます。
 さらに、関係機関と緊密に連携しながら、ポートラジオを活用した東京港内の交通整理、誘導を的確に行い、船舶の航行安全に万全を期すことで、円滑な物流の確保と効率的な港湾運営を推進し、ひいては首都圏四千万人の生活と産業を支えてまいります。

○菅野委員

 今後とも、都は港湾管理者として、東京港における船舶の安全航行に万全を期して取り組み、世界から信頼される港としてさらに成長していくよう努力されることを大いに願いまして、私の質問を終わります。

【都議会リポート】
https://www.gikai.metro.tokyo.jp/record/special-accountiong/2018-09.html