平成29年 第三回東京都議会定例会 一般質問
平成29年9月27日(水)、かんの弘一(港区選出 都議会議員)は、東京都議会 第三回東京都議会定例会にて、品川駅周辺のまちづくり、竹芝、日の出両ふ頭の整備、中小企業の海外展開支援の強化、教員の働き方の見直しなどにについて質問いたしました。
■品川駅周辺のまちづくりについて
最初に、二〇二〇年の新駅開業を機に東京のゲートウェイとして大きく変わろうとしている品川駅周辺のまちづくりについて伺います。
品川駅周辺は、二〇二〇年のその先を見据えて、羽田空港のさらなる国際化やリニア中央新幹線の整備を契機に、これからの日本の成長を牽引する国際交流拠点として、再編整備をされようとしています。
こうした状況の中、品川駅においては、駅の東口の港南口といわれるエリアのまちづくりが先行し、人口の急増とともに整備された駅前広場では、各種イベントも開催されるなど、にぎわいが増しています。
一方、高輪口といわれる西口は、目の前に国道一五号線があり、駅前広場も狭隘で、横断歩道や歩道橋などもあるものの、人や車やバス、荷さばき車両などが錯綜しているのが実情です。
この西口エリアでは今後、京浜急行本線の連続立体交差事業も進められ、京急線が地表化される計画が打ち出されていることから、今の西口広場を再整備する必要が生じています。
このようなことも踏まえて、国は都とともに、国道の上部空間の一部を活用して、駅前広場とする方針を定めており、今後民間の知見を広く取り入れながら、具体的な検討をしていくと聞いています。
そこで、品川駅前における国道一五号線上空活用の現在の検討状況と今後の取り組みについてお伺いします。
品川駅西口周辺は、お話のような国際交流拠点の玄関口にふさわしい機能の導入に向け、国道で分断された駅とまちをつなぎ、一体となるよう整備を進める必要がございます。
このため、ことし二月、国と都は、立体道路制度を活用した国道の整備方針を策定し、駅周辺の限られた空間の中で、道路上空を新たに有効活用することといたしました。
具体的には、駅に直結する業務、商業街区と国道西側の大規模ホテルが複数立地する街区とを結びつけて、交通広場の整備とあわせ、回遊性を備えた魅力ある駅前空間を創出いたします。
国は今月、この方針に基づく事業計画の策定に向けて、提案や協力を行う民間事業者を選定してございます。
今後の都市づくりの一つのモデルケースとなるような魅力ある都市空間の創出に、官民が協働して取り組んでまいります。
■竹芝客船ターミナルのリニューアルについて
竹芝客船ターミナルは、知事が宝島とおっしゃっている伊豆・小笠原諸島への航路の拠点として重要な役割を果たしています。
しかし、建設から二十年が経過し、老朽化が進むとともに、外国人旅行者の受け入れなどの課題に十分に対応できていない状況にあります。
一方、竹芝地区は、大規模複合施設の建設や、浜松町駅から竹芝客船ターミナルまでをつなぐ歩行者デッキの設置など、さまざまなプロジェクトが進行しており、新たなまちへ変革を遂げつつあります。
こうした中、竹芝客船ターミナルが、伊豆・小笠原諸島への玄関口としての役割をしっかり果たしていくためには、周辺の開発動向を見据え、利用者の利便性や快適性を向上させるよう、確実にリニューアルを行っていくべきと思いますが、見解を伺います。
竹芝客船ターミナルについてでございますが、お話のように、竹芝地区では現在、再開発事業の進展に合わせて、浜松町駅から竹芝ふ頭までをつなぐ歩行者デッキの設置工事等が進んでおり、この機会に、客船ターミナルにおきましても、周辺と連動した円滑な歩行者動線の整備を行う計画でございます。
また、外国人旅行者等が使いやすい施設とするため、トイレスペースの拡大や洋式化、多言語化に対応した案内サインの充実等も実施することとしており、今年度は、これらの改修工事の基本設計に着手いたします。
こうした取り組みを着実に進め、竹芝客船ターミナルを周辺環境と調和のとれた便利で快適な施設とすることで、今後とも、伊豆・小笠原諸島の振興に資する玄関口としての役割をしっかりと果たしてまいります。
■日の出ふ頭の活性化への取り組みについて
日の出ふ頭は、浅草とお台場を結ぶ水上バスの結節点であり、かつ浜松町駅からも比較的近く、舟運の拠点として高いポテンシャルを持っているといえますが、一般の来訪者が少ないのが実情であります。
今後、日の出ふ頭を多くの人々が集い、にぎわう舟運の拠点としていくためには、桟橋などの整備に加えて、最寄り駅から楽しく歩けるような環境整備も重要であります。
現在、日の出ふ頭周辺の芝浦地区においても、民間事業者による大規模な再開発事業が進展しており、都は先月、この再開発事業者と連携し、日の出ふ頭のにぎわいを創出するため、協定を締結したところであります。
そこで、日の出ふ頭を、舟運の拠点としての魅力を高め、活性化を図っていくためにどのように取り組んでいくのか、見解を伺います。
日の出ふ頭の魅力を高めていくためには、桟橋の機能強化と周辺環境の整備に取り組む必要がございます。
そこで、都は、旅客用桟橋を新設するとともに、隣接する芝浦地区の再開発事業者との協定に基づき、桟橋利用者のための小型船ターミナルを民間の負担で整備することといたしました。
このターミナルは、舟運の待合機能に加え、イベントなどに活用することで、さらなるにぎわいを創出してまいります。
さらに、日の出と竹芝をつなぐ人道橋を再整備し一般開放するなど、複数の歩行者動線の改善を図り、ふ頭への人の流れと地域の回遊性の向上を図ってまいります。
こうした取り組みにより、日の出ふ頭を、人々が集いにぎわう舟運の拠点として、その役割を強化してまいります。
■中小企業の海外展開支援のさらなる強化について
少子化などにより国内市場が縮小する一方で、アジア地域を初めとする海外市場は拡大傾向にあります。
一方、都内中小企業は経営資源に限りがあり、情報収集、販売ノウハウの不足等から海外展開をちゅうちょしている企業も多いと聞いています。
こうした背景から、平成二十七年度より国内でのサポートに加え、都は、東京都中小企業振興公社を通じてタイなどに海外事務所等を設置し、相談事業などを開始しています。
東南アジアは経済成長を続けており、今後、販路拡大に加えて、現地企業との提携など、相談ニーズが見込まれます。
現在、公社による東京と現地の製造拠点などでの一貫したサポート体制はありますが、円滑な取引を推進するためには一層の充実が求められます。
既に、アジア地域に進出した中小企業が円滑に事業を進めていくためには、現地企業との連携が欠かせないものとなっています。
また、タイに加え、ほかの国との幅広い販路開拓をフォローする仕組みも必要であると思いますが、都として中小企業の海外展開支援のさらなる強化について見解を伺います。
都内の中小企業が、将来に向けて大きな成長の期待できるアジアの市場に進出し、現地での販売やサービスの提供が円滑に進むようサポートすることは重要でございます。
これまで都は、中小企業振興公社のタイ事務所等で、アジア各国の取引に関する法律や商慣習のほか、現地に拠点を設ける場合の労務等の相談業務を行ってまいりました。
今後は、アジア市場での製品の販売やサービス提供をさらに効果的に進めるため、都内の中小企業が現地の製造業者に生産を委託する場合や、事業ノウハウを共有し提携する取り組みに関するサポートを重視してまいります。
また、中小企業と現地企業とが効果的に提携するきっかけづくりを検討してまいります。
こうした取り組みにより、海外展開の適切な支援を進めてまいります。
■待機児童解消に向けた追加対策について
知事が都政の最重要課題と位置づけている待機児解消に向けた今回の追加対策についてお伺いします。
ことし四月の都内待機児童数は八千五百八十六人と百二十人の増加でありました。
区市町村別の内訳を見ると、その多くは依然二十三区に集中しており、私の地元港区では就学前の児童人口も増加していることから、昨年四月よりも百名増加して百六十四名となっています。
今回の待機児解消に向けた追加対策は、保育の実施主体である区市町村の意見も踏まえ検討を行ったと聞いており、その一つが、賃借料補助の拡充と認識しています。
そこで、この賃借料補助が、地価が高く不動産の確保で特に苦戦している都心区において、どのように整備促進に結びつくとお考えなのか、都の見解を伺います。
また、児童数増加が著しい港区など区部においては、さまざまな待機児童対策に取り組む中で、緊急的な対策として、特別区独自の施策もあわせて実施することで効果を上げてきています。
来年度に向けた特別区長会からの要望にもあるかと思いますが、都のさらなる待機児童解消に向けては、今回の追加対策にとどまることなく、幅広い観点から、特別区の独自施策などへの財政支援なども進めていただくことを知事に要望します。
保育所の賃借料補助の拡充に関するご質問にお答えをいたします。
都は、賃貸物件を活用した保育所等の整備を促進するため、昨年十一月から、区市町村ごとに平均公示地価に応じて、一千五百万円から四千万円まで四段階の補助上限額を設定し、開設後五年間賃借料を補助する制度を独自に開始いたしました。
今回の追加対策では、国が今年度開始した補助制度や区市町村からの要望も踏まえまして、公示地価による区分を撤廃し、補助上限額を最大四千五百万円に引き上げるとともに、
賃借料が特に高い場合は、開設後六年目以降も補助を継続するなど制度の充実を図っており、都心部や駅周辺などで保育所の整備が進むことが期待できます。
今後とも、待機児童解消に向けまして、保育所等の整備に取り組む区市町村を支援してまいります。
■東京水道あんしん診断の意義について
水道は、都民生活と首都東京の都市活動を支える上で欠くことのできない基幹ライフラインです。
まさに、命にかかわるライフラインを確保するため、水道局では、施設の耐震化などを進めるほか、高度浄水処理の導入や、日夜徹底した水質管理による安全で高品質な水を絶えず供給しています。
この東京の水道は、水道局だけでなく、民間事業者も含めた多くの人々が守っています。
水と空気はあって当たり前ではありません。安定した水の供給には多くのコストと人手がかかり、決して簡単なことではないということをもっと多くの都民に知ってもらう必要があります。
また、都民が水道に関して一番不安に感じていることは何であろうかと考えますと、自分たちが飲んでいる水は果たして安全なのか、家の中のどこかで漏水していないかなど、そういった単純ですが根本的なことを最も気にしているのかということが考えられるわけです。
都が現在取り組んでいる東京水道あんしん診断の中では、水道使用者の一軒一軒を見ることで、漏水を発見するなどの成果もあったと聞いています。
そして、水道局や民間事業者といった水道のプロたちが、全家庭を一軒一軒回ることで、都民が水道を深く知り、また、水道事業にかかわる者が都民を深く知るよい機会でもあります。
そこで改めて、東京水道あんしん診断の意義について伺います。
東京水道あんしん診断の意義についてでございますが、本事業では、全てのお客様のお宅を対象に個別訪問を行い、蛇口まで高品質な水が届いていることを実感していただくため、漏水調査や水質調査などを実施しております。
診断に際しましては、局や監理団体職員に加え、専門的な知識を有する民間事業者の協力により、あらゆる相談に対応できる体制で取り組んでおります。
その結果、お客様の立ち会いのもと、安全でおいしい水が蛇口まで届いていることを確認しているほか、お客様が気づかない宅地内での漏水をこれまでに約二千五百件発見し、修理に結びつけております。
こうした対応は、東京水道への理解を一層深め、信頼を高めるために有意義であると考えております。引き続き、水道に携わる全ての者が緊密な連携を図り、知識と技術力を結集し、現場でのお客様ニーズにきめ細かく対応してまいります。
■教員の働き方の見直しについて
将来の変化を予測することが困難な時代にあって、こうした時代を生き抜く子供たちに対して、必要な資質、能力を育成していくことは極めて重要であります。
そのためにも、学校教育の中核である教員が、授業や授業準備等に集中し、健康で生き生きとやりがいを持って勤務でき、その専門性を十分に発揮していくことが必要不可欠であります。
しかしながら現状は、教員の多忙化による長時間勤務が一層進んでいるのが実態であり、その一因として、教員が学校におけるさまざまな業務を担う、いわゆる丸抱え状態になっていることが考えられます。
そこで、都教育委員会は、今後、学校の働き方改革を進めていくと聞いていますが、どのような考え方に立って教員の働き方の見直しを進めていくのか伺います。
学校の働き方改革に向けた考え方についてでございますが、学校を取り巻く環境が複雑化、多様化し、学校に求められる役割が拡大する中、さまざまな教育課題が教員に集中し、このことが教員の多忙化の要因となっております。
学校の働き方改革を推進するに当たっては、小中学校を含めた全ての公立学校でこうした教員の状況を改善し、教員が本来の役割である学習指導等に専念できる環境を整えることにより、学校教育の質の向上につなげていく視点が重要でございます。
このため、都教育委員会では、教員が現在携わっている業務を改めて検証し、必ずしも教員が担う必要のない業務については、事務職員等との役割分担を見直すなど、教員が子供たちの指導に専念できる環境づくりを進めてまいります。
知事がご自身の所信表明でも示されているように、今、東京には、人口減少や超高齢化への対応、首都直下地震、自然災害への備え、脅威を増す国際テロや暴挙を繰り返す北朝鮮への対策、そして知事みずからが判断、決定をされた豊洲市場早期移転と築地再開発、二〇二〇年オリンピック・パラリンピックに向けた環状二号線整備を初めさまざまな準備など、小池知事には就任二年目を迎えた今、みずからの責任において取り組むべき多くの課題が目の前に山積しています。
特にオリンピック・パラリンピック開催は、知事みずからが何度も、未来に向かって東京を大きく飛躍させる跳躍台とおっしゃるほど重要課題であるとともに、都民、国民に再び大きな夢や希望を持ってもらいたい、そうした思いで懸命に東京に招致したこの大会は、何としても成功させなければなりません。
知事も、大会まで三年を切った今、さらなるスピード感を持って取り組みを着実に推進するとおっしゃっていますが、正直のところ本当に間に合うのか不安です。
そうした中、おととい知事は、突然、今般国政に臨む新党、希望の党の代表就任を表明されました。
そして、知事は会見で、私自身がしっかりと旗を掲げる、スピード感を増すために国政関与が必要、私自身は都政で重要な役割など、まさに二足のわらじを履くかの発言をされました。
都政に多くの課題を残した今の時点で、さらに国政にも関与されるという知事の姿勢を疑問に思ったのは私だけではないと思います。
知事には、せめてこの一年間でご自身がまいた種だけは責任を持って刈り取っていただきたい、そのことを要望しまして、私の質問を終わります。
※読みやすさを重視し、質問と回答が一対一となるように再構成しております。
実際の質問の様子は都議会WEBサイトにて「本会議の会議録」をご覧ください。
https://www.gikai.metro.tokyo.jp/record/proceedings/2017-3/03.html