平成30年 文教委員会(11月22日)

平成30年11月22、文教委員会にて質疑いたしました。

■交通需要マネジメント(TDM※)について

1.都の今後のTDMへの取り組みについて

○菅野委員

 まず私は、オリ・パラに関して伺いますが、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック大会まであと、きょうから六百十日ということで、さまざまな準備、本当に皆様、加速をして取り組んでいただいていることと思います。
 そこでまず、ここでは東京二〇二〇大会に向けての交通需要マネジメント、いわゆるTDMについてお聞きしたいと思います。
 まず、大会成功の大きな鍵を握るのが交通輸送の成功といわれています。しっかりとした輸送運営計画を策定して、円滑な大会輸送と経済活動の維持の両立を図ることが重要です。
 この実現に向けての交通需要マネジメント、TDMを進めるため、この夏、都と国と東京二〇二〇組織委員会による二〇二〇TDM推進プロジェクトが発足しました。
 都はこのTDMプロジェクトにおいて、多くの団体や企業に参加を仰いでいると聞いていますが、今後、TDMを着実かつ効果的に進めるためには、さまざまな交通需要を想定して、広範囲に交通量の調整を図る必要があると思います。
 そして、そのためには、より広く自治体など関係機関との連携を強化していく必要があると思いますが、そこで都は、今後どのように取り組んでいくのか、伺いたいと思います。

○片寄輸送担当部長

 東京では、埼玉、千葉、神奈川など首都圏各地を初め全国との往来があり、交通需要マネジメント、いわゆるTDMによる交通量の低減を目指すためには、広域的な取り組みが必要でございます。
 都は、円滑な大会輸送の実現と都市活動の維持との両立を図ることを目的として、国や組織委員会と共同で二〇二〇TDM推進プロジェクトを八月に立ち上げ、現在、三十団体、二百五十を超える企業に参加していただいております。
 この取り組みを広域的に広げるため、先日行われた九都県市首脳会議におきまして、都からTDMを広域的に取り組む必要性を提案し、九都県市の知事市長連名で各県市の商工会議所やトラック協会、経営者協会などにTDMの協力要請を行うこととしております。
 都では、こうした機会を通じて、時差ビズ、テレワークなどについては、主に東京圏の自治体で一体となった取り組みを進めるほか、物流面については、国の協力を求め、全国の荷主企業等に二〇二〇TDM推進プロジェクトへの参画や大会時の交通混雑を避ける取り組みへの理解と協力を求めてまいります。

2.個々の事業者や荷主の方々との理解と協力を得るための今後の取り組みについて

○菅野委員

 多くの企業や団体を交えて、今調整をされているということでございますが、円滑な大会輸送と都市活動の維持に向けて、そういった中でも特に懸念されるのが、大会の主要会場とも交通需要が交錯する湾岸部を初め、また都内の物流対策への取り組みというのが本当に重要だと思います。
 都は、先ほどの答弁にもありましたが、これまで物流の担い手である東京都トラック協会や東京港運協会などとも意見交換を進め、対策を検討しているとお聞きしましたが、より実効性を高めるためにも、そういった業界団体だけではなく、個々の事業者やさまざまな荷主の方々の理解と協力を得る取り組みも必要だと思います。
 そこで、都の今後の取り組みを伺いたいと思います。

○片寄輸送担当部長

 円滑な大会輸送の実現と都市活動の維持との両立を図るためには、大会時の物流対策を進めることも重要でございます。
 これまでも、東京都トラック協会や東京港運協会など、臨海部などで直接物流に携わる団体との意見交換を進めており、この中で、大会時の物流車両の削減や配送時間の変更等については、荷主の意見が強く物流会社単独でTDMを進めることは難しいとの意見を頂戴しております。
 このため、二〇二〇TDM推進プロジェクトにおいては、物流面での取り組みとして、荷主の理解と協力を求め、サプライチェーン全体での取り組みを進めることとしております。
 今後、荷主となり得る百貨店、メーカー、商社などに対し、混雑時をずらした発注や納入など物流面でのTDMを働きかけるとともに、複数の物流事業者とともに大会時の対応について検討を進め、経済活動を支える物流の維持に努めてまいります。

■ラグビーワールドカップへ向けた取り組みについて

1.テストマッチと本番における交通輸送への取り組みについて

○菅野委員

 ぜひ今後も開催都市として東京都が責任主体となって、多くの関係者の理解と協力を得て、広域的かつ、よりきめ細かく調整を図って、交通マネジメント、TDMを推進されることを要望して、次の質問に移ります。
 次に、今月の十一月三日に開催されたラグビーテストマッチについてお聞きします。
 今回のテストマッチは、国内で開催された日本代表戦では過去最高の四万三千七百人を超える観客やVIP等の関係者が観戦に訪れたラグビーの一大イベントとなり、東京都を初め交通事業者などの関係機関にとっては、二〇一九年大会のトレーニングの位置づけとして、非常に意味のある大会だったと思います。
 例えば二年前のテストマッチにおいては、京王線の人身事故による運転見合わせがあり、多くの観戦客がその影響を受けました。私も観戦をしていたんですが、一緒に見るはずだった友人が開始におくれたというのも記憶にあります。
 また、東京スタジアムでのイベント時は、飛田給駅に観客が集中することになり、スタジアムまでのアクセスルートも混雑してしまうことから、交通分散への対策が必要となっています。
 スタジアム周辺道路についても、甲州街道は中央道の調布インターチェンジからの車の流れもあって、イベントのない日でも渋滞をしていることが多いと聞いています。
 こうした状況も踏まえて、今回のテストマッチの課題もよく分析をして、二〇一九年大会本番に想定されるさまざまな状況に対応できるよう、しっかりと準備をしていく必要があると思います。
 そこで、大会の一年前の貴重な検証の機会となる今回のテストマッチにおいて、交通輸送についてはどのような取り組みを行い、そして今後、本番に向けてどう取り組んでいくのか、伺いたいと思います。

○田中ラグビーワールドカップ会場運営担当部長国際大会準備担当部長兼務

 十一月三日のテストマッチにおきましては、京王線飛田給駅の混雑緩和や周辺道路の渋滞対策等の課題に対応するため、関係機関と連携しさまざまな取り組みを行いました。
 具体的には、飛田給駅の混雑緩和に向けて、JR中央線、小田急線、西武多摩川線の近隣駅と会場をつなぐシャトルバスを運行し、複数の来場ルートについて、主催者と連携してチラシや中づり広告、ホームページ、SNSにより事前の周知に取り組みました。
 試合当日には、スタジアム周辺におけるシャトルバス運行情報の案内チラシの配布や、スタジアム内の大型電光掲示板や場内放送を活用した案内により、シャトルバスへの観客誘導を行いました。
 また、渋滞対策につきましては、中央道及び甲州街道において、車両の自粛や迂回を促す情報発信等を事前周知するとともに、当日は、甲州街道において巡回警備員による違法駐停車の防止等に取り組みました。
 さらに、観客の利用交通手段等についてのアンケート調査を実施するとともに、シャトルバスの利用者数や交通量等に関する調査も行っております。
 今後は、こうした調査結果を踏まえまして、関係機関で構成されるプロジェクトチームにおきまして、課題の検証や対策の具体化に努め、今年度末に策定予定の交通輸送実施計画に反映させていきます。

2.ファンゾーンについて

○菅野委員

 特に本番になりますと、海外からより多くのファンやVIPなども訪れることや、セキュリティーチェックの一層の強化もあります。会場周辺はさらに混雑が予想されます。誘導やサインの仕方にも一層の工夫が必要かと思います。
 今回の検証結果を本番の交通輸送実施計画にしっかりと生かしていただくことをお願いしておきます。
 次に、ファンゾーンについて伺います。
 都は、二〇一九年大会のファンゾーンの会場として、区部では、有楽町の旧一〇〇〇days劇場、多摩地域では調布駅前広場を候補地としています。
 二〇一五年に開催されたイングランド大会では、ファンゾーンに多くの人が集まり、試合への期待を高め、あるいは試合の興奮を共有するなど、ファン同士が交流する場となっていました。
 実際、そのほかの世界の大会でも、ラグビーの大会では非常にファンゾーンの役割というのがまさに試合前の気分を高めるというか、そういった場であり、また試合が終わった後の、その結果を受けて、仲間をつくる、交流をつくる、そういった重要な場であると聞いています。
 試合だけでなく、そうしたファンゾーンもラグビーワールドカップにとって大変重要なものであり、その成否は大会の成功に直結するといっても過言ではありません。
 今回のテストマッチは、ファンゾーンの運営の検証ということでも、本番の候補地と同じ場所で開催する貴重な機会であったと思いますが、都は、どのような取り組みをこれまで行い、本番にどのように生かしていくのか、伺いたいと思います。

○小室スポーツ推進部長

 都は、十一月のテストマッチに合わせ、二〇一九年のファンゾーンの候補地である有楽町の旧一〇〇〇days劇場におきまして、東京ラグビーファンゾーン二〇一八を実施するとともに、調布駅前広場におきましては、調布市が主催するちょうふスクラムフェスティバルに共催してラグビーイベントを行いました。
 有楽町におきましては、本番を見据え、複数の画面を設置し、さまざまなスタイルで楽しむパブリックビューイングを行いますとともに、ゲストによるトークショー、ラグビー体験、飲食ブースの設置等を行いました。
 あわせて、来場者に対してアンケートを実施し、来場のきっかけ、交通手段、本イベントへの満足度等について調査を実施しました。
 調布におきましては、都は共催者として、調布市の実施するイベントに全面的な協力を行いました。具体的には、パブリックビューイングの実施に向けた関係機関との調整、SNS等を通じたイベントの幅広い周知、また当日には、京王線新宿駅や飛田給駅、スタジアム周辺等でのチラシ配布により来場を促進しました。
 さらに、会場内では、調布市との連携によりアンケート調査を実施するとともに、本イベントの会場と試合会場を結ぶシャトルバスの利用状況についても調査を行いました。
 今後、調査結果の分析を行い、取り組みについての検証を深め、その結果をファンゾーン運営計画の策定に活用してまいります。

3.ラグビーワールドカップ二〇一九への機運醸成の取り組みについて

○菅野委員

 本番大会は、大会開催期間も長く、東京スタジアムでも複数の対戦が行われます。
 試合前後の盛り上げの場となるファンゾーンの運営にも、さらに一層の工夫が必要だと思います。今回の結果を運営計画にしっかりと生かしていただきたいと思います。
 次に、機運醸成の取り組みについて伺います。
 今回のテストマッチは、本番に向けた運営などの検証を行う機会であるとともに、多くの都民がラグビー試合の観戦を通じ、その迫力と興奮を実感することで、ラグビーのすばらしさを知る機会でもありました。
 それはすなわちラグビーワールドカップ二〇一九を大いにPRできるとともに、都民の機運を高めることができる絶好の機会でもあります。
 こうした機会を的確に捉え、さまざまな手法を通じ、集中的にPRすることが必要であり、そして高まった都民のラグビーへの熱気を二〇一九年につなげていくことが重要であると考えます。
 そこで、今回、今月のテストマッチに向けて、機運醸成にどのように取り組んでこられたのか、そしてまた、今後、本番に向けて、来年に向けてはどう取り組んでいくのか、伺いたいと思います。

○篠ラグビーワールドカップ準備担当部長

 都は、十一月のテストマッチを盛り上げるため、交通結節点となる京王線新宿駅、京王井の頭線渋谷駅及び試合会場の最寄りの飛田給駅でポスターを集中的に掲出いたしました。
 また、ファンゾーンの開催などについて「広報東京都」に掲出するとともに、開催までの約一カ月にわたり、SNSで試合やファンゾーンへの来場を継続的に呼びかけを行いました。
 二〇一九年大会本番に向けての取り組みといたしましては、多摩地域十カ所、区部十カ所で大会マスコットのレンジーを活用したPRフラッグを約四千枚掲出し、大会に向けた機運を醸成しております。
 また、ラグビー選手の畠山健介氏など都の開催都市特別サポーターを活用した二〇一九年大会のPR動画を作成し、京王線及び小田急線新宿駅のデジタルサイネージ八十二基で放映し、二〇一九年大会に向けた期待感を高めるよう努めました。
 さらに、テストマッチ当日において、レンジーのトートバッグを会場周辺や飛田給駅、京王線西調布駅、西武多摩川線多磨駅、新宿駅、有楽町、調布で約一万八千部配布し、二〇一九年大会の開催をPRいたしました。
 テストマッチ後も開催都市を巡回するポップアップミュージアムを組織委員会と連携して有楽町の旧一〇〇〇days劇場で行ったところであり、その後もラグビー選手のパネル展示や動画を放映する東京開催応援フェアを開催しております。
 今後とも、イベントやさまざまな媒体を活用したPR事業を都内各所で実施し、二〇一九年大会開催に向けて、さらなる機運醸成に取り組んでまいります。

4.ラグビーワールドカップ二〇一九に向けての意気込み

○菅野委員

 ラグビーワールドカップ二〇一九年大会の本番に向けては、まだまだ課題は多く残されていると思います。
 しかしながら、これまでの皆様方の取り組みが徐々に効果を出してきておりまして、今機運も本当に高まってきていると思います。
 残された時間をしっかりと使って、二〇一九年大会を成功させること、そして何よりもラグビーのワールドカップの成功がその翌年の東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック大会の盛り上げ、成功につながっていくものでありますので、ぜひそのためにも連携して取り組みを進めていただきたいと思います。
 そこで、最後に、開催まで一年を切ったラグビーワールドカップ二〇一九年に向けて、潮田局長の決意をお伺いして、質問を終わりたいと思います。

○潮田オリンピック・パラリンピック準備局長

 本日、ラグビーワールドカップ二〇一九の開催まで残すところ三百二日となっております。
 アジア初となります本大会の成功に向け、開催機運の醸成、あるいは開催の準備、こうしたことをしっかりと加速していかなければいけないものと認識をしております。
 都はこれまでも、開催都市として会場運営、交通輸送、ファンゾーン、あるいは大会機運の盛り上げ等、さまざまな準備を行ってまいりました。
 十一月三日のラグビーテストマッチでは、こうしたこれまでの取り組みについて検証する機会でございました。当日の取り組みや調査結果などをさらにしっかりと分析いたしまして、交通輸送、あるいはファンゾーンなどの計画にしっかりと反映をさせていきたいというふうに考えております。
 今回のテストマッチは、国内におけますラグビー日本代表戦で過去最高となる観客に来場していただきました。こうした盛り上がりを生かしまして、より多くの方々にラグビーの魅力やおもしろさを伝えられるよう、さらなる機運醸成に取り組みまして、大会への期待感を一層高めてまいりたいというふうに考えております。
 今後も都議会の皆様、組織委員会、都内の区市町村の皆様、そして、その他の関係機関の皆様方と、より一層密接に連携を図りながら、二〇一九年大会を成功させていきたいと思っております。そして、その成功を二〇二〇年大会へとつなげていくよう、全力を挙げて取り組んでまいります。

※注釈:
Transportation Demand Managementとは、自動車の効率的利用や公共交通への利用転換など、交通行動の変更を促して、発生交通量の抑制や集中の平準化など、「交通需要の調整」を行うことにより、道路交通混雑を緩和していく取組みをいいます。

【都議会リポート】
https://www.gikai.metro.tokyo.jp/record/educational/2018-15.html