平成30年 文教委員会(12月14日)②
平成30年12月14日 文教委員会にて質疑を行いました。
■都立中高一貫教育校について
1. 都立中高一貫教育校の現状に関する都教育委員会の認識と今回の計画案の意図について
先般公表された都立高校改革推進計画・新実施計画(第二次)(案)骨子では、併設型中高一貫教育校について、高校の募集を停止し、中学校段階での生徒募集の規模の拡大等を検討するとの計画案が示されています。
現在、都立中高一貫教育校十校の教育内容や実績に対する都民の評判は高く、中学校段階からの入学に関する受検倍率は平均で五、六倍と高い水準にあると聞いていますが、高校段階からの生徒募集も行っている、この併設型中高一貫教育校五校では、高校募集の受検倍率が一倍を下回る学校も出ていると聞いています。
そこでまず、都立中高一貫教育校の現状に関する都教育委員会の認識と今回の計画案の意図を伺いたいと思います。
都立中高一貫教育校では、六年間の計画的、継続的な教育や、高校受検のないゆとりを生かした特色ある教育を実施しており、生徒が学びの成果を発揮して、科学分野の国際的なコンテストや国内における文化、運動双方の大会等ですぐれた成績をおさめるとともに、難関といわれる大学に毎年一定数の合格者を出すなど、多方面で多くの実績を上げております。
また、併設型中高一貫教育校につきましては、高校からの入学が中高一貫教育の途中段階からの入学となることや、選択肢となる他の高校が多くあるという東京特有の事情などから、中学生やその保護者から積極的に選ばれておらず、志望倍率は五校平均で一倍を下回るとともに、中高一貫教育の展開に課題があることも確認しております。
こうした状況を踏まえ、都立の併設型における中高一貫教育の円滑な推進を図るため、今回の計画案骨子では、高校段階からの生徒募集を停止し、あわせて中学校段階での生徒募集の規模拡大を含めて検討することとしております。
2.高校の募集停止による中学生の進路選択への影響について
現在の併設型の受検倍率の状況、そして中高一貫教育のさらなる推進の観点から、こうした対応を検討することについては理解するところでございます。
しかしながら、起こり得る課題にもしっかりと目を配ることが求められていると思います。中学校段階での生徒募集を拡大することは、小学生の中学校進学時の選択肢を広げる一方で、高校の募集停止は、中学生の進路選択に影響を与えることが想定されます。
現在、併設型における高校の志望倍率は平均で一倍を下回る状況ということですが、この中学生の進路選択への影響について、都教育委員会としてどのように対応していくのか、見解を伺いたいと思います。
併設型において高校募集を停止するに当たりましては、中学生が進路を検討するための十分な時間が確保されるよう、実施の時期や周知方法について最大限配慮しつつ、今後慎重に検討してまいります。
また、その他の都立高校につきまして、今回の新実施計画第二次案の骨子で示しているさまざまな施策の展開により、一層の魅力向上を図ることで、今後とも、中学生や保護者に対し、魅力ある多様な選択肢となるよう努めてまいります。
3.中高一貫教育で目指すものについて
ぜひ、さまざまな課題の発生に十分留意しながら進めてほしいと思いますが、そうした対応をしっかりととりながら、併設型の高校募集を停止し、中学校段階での生徒募集の拡大を図ることによって、都教育委員会として、今度、中高一貫教育校でどのような教育を目指すのか伺いたいと思います。
中高一貫教育では、六年間一貫したゆとりある学校生活を生かし、六年間を見通した計画的、継続的な学習指導、進路指導、生活指導等の展開や、六学年にわたる幅広い異年齢集団による活動を通して、社会性や人間性を育てる教育の一層の充実を図ることができます。
例えば学習面では、六年間を見通した教育課程の編成により、中学校段階の早期から、調査、研究、発表を繰り返して深めていく探求的な学習や、生徒の意欲に応える学習内容の先取り等を実施することが可能となり、生徒の思考力、判断力、表現力等の着実な伸長や、将来の目標となる分野の発見などにつなげることができます。
こうした中高一貫教育の趣旨を生かした教育のさらなる充実を図り、都立中高一貫教育校の設置の狙いである、社会のさまざまな場面、分野で人々の信頼を得ながら使命感を持って行動するリーダーとなり得る人材の育成を一層推進してまいります。
■理数科の設置によりどのような人材を育成していくのか
中高一貫教育校のやっぱり特色というのが、六年間という中でのカリキュラムというのがありますので、そういったものがこのことによってさらに充実されるということで、新たなまた魅力というか、中高一貫教育校の魅力というのが向上されるものというふうに大きく期待をしております。
一方で、今回のこの計画にもいろいろと書いてございますけど、ほかの都立高校でも、さまざまな新しい取り組みとか新しい分野に取り組む学校をふやすということで、そういった意味で、これから子供たちの選択のメニューをさらに広げていただいて、それぞれの用途に合った多様な形で、都立教育がしっかりと運営されることを望んで、次の質問に移りたいと思います。
そういう中で、次に、理数科の設置というのがございました。そこで、それについて伺いたいと思います。
AIやIoTといった情報技術が加速度的に進化を続け、日常生活のあらゆる場面でのかかわりが不可避となる中、これらの社会を生きる子供たちには、これらの技術を理解し、使いこなす能力の標準装備が求められることは想像に難しくありません。
これらの能力の習得のためには、情報技術を初め、あらゆる科学技術の根底にある理数系分野の知識、技能の習得が不可欠でありますが、一方で、都立高校の現状を見ると、大学の理系学科への進学者の割合が必ずしも高くない水準にあることに見られるように、多分課題が少なからずあるものと考えます。
そこで、都立高校改革推進計画の新実施計画第二次案の骨子を見ると、新たに今度、理数科を設置することとされております。理数コースとかそういったようなものはよく聞くわけですが、今回、理数科ということであります。
その方向性については、私も賛同するところであります。ただし、この理数科は、ほかの自治体では既に数多く設置例があるということもありまして、都は、後発としても、これまでの二番煎じに終わってしまっては意味がないと思います。
そこで、都教育委員会は、理数科の設置により、どのような人材を育成しようとしているのか、見解を伺いたいと思います。
今般公表した都立高校改革推進計画・新実施計画(第二次)(案)の骨子においては、平成三十四年度に都立高校で初めてとなる理数科を立川高校に設置する予定としております。
設置に当たりましては、理数系分野の幅広い素養の習得に加えて、これからの社会を生きる人材の必須の素養となる情報活用能力やデータ活用能力等の習得に重点を置くこととしております。
理数科の設置によりまして、難関国公立大学を初めとした理系学科への進学実績の底上げを図るとともに、理数系分野の幅広い素養と情報活用能力とをあわせ持ち、それらを生かして新しい価値、イノベーションを生み出すことのできる人材の育成を目指してまいります。
■高大連携の推進について
まずは立川高校からいうことでございますけれども、計画によると、区部にもということもございます。またさらに、立川高校での実績、検証を生かして、さらなる区部での新しい学科設立に向けて、取り組みを進めていただきたいことを大いに期待したいと思います。
次に、高大連携の推進について伺いたいと思います。
社会が大きく変化し、それに伴い生徒や保護者のニーズも多様化する中において、高等学校に求められる役割に学校だけで対応していくことは、ますます困難となると考えられます。
特に理数系分野においては、個々の生徒の興味や関心などに応じて、高校段階から専門的な学びの機会を提供することで、より深い知識、技能の習得とともに、みずからの適性を知る契機となるなど、非常に効果的であるものの、指導に当たっては、高度な知識や技能や研究設備などが必要となることから、その実施に当たっては、大学等との連携が不可欠であるといわれています。
そこで、国においても、高大接続改革を推進しているところでありますが、東京都は数多くの大学が集積する我が国随一の強みを有しており、その強みを生かして、国の動向を踏まえつつも、さらに一歩進んだ高大連携を推進するべきと考えますが、都教育委員会の見解を伺いたいと思います。
大学が持つ教育力、研究力を生かして、高校教育の改善、充実を図るとともに、それを通じて修得した高校における学びの成果を適切に評価し、大学との接続を円滑に図ることを目的として、高大連携を推進することが必要でございます。
このため、都立高校改革推進計画・新実施計画(第二次)(案)の骨子において、東京農工大学と多摩科学技術高校との連携により、将来の研究者としての素養を、高校から大学、大学院までの一気通貫で育成する教育プログラムの実現に向けた研究開発を実施することとしております。
今後、この研究開発の成果等につきまして、他の都立高校への展開を図るとともに、大学側のニーズも踏まえつつ、他の大学との連携についても検討してまいります。
今回は、文部科学省のスーパーサイエンスハイスクールにも指定されている東京都立の多摩科学技術高等学校を拠点とした、東京農工大学との高大連携というお話がございました。まず、この成果には大いに期待しておきたいと思いますが、さらには、他の学校との連携もかなり計画があるようでございますので、ぜひ都立と、そして大学との連携をしっかりと図っていただいて、長いスパンでというか、将来を見据えたしっかりとした研究者を育てていただければということに期待をして、質問を終わりたいと思います。
【都議会リポート】
https://www.gikai.metro.tokyo.jp/record/educational/2018-17.html