平成30年 文教委員会(11月28日)

平成30年11月28日、文教委員会にて質疑を行いました。

■文化プログラムについて

1.文化プログラムの現状の取り組みについて

○菅野委員

 それでは、私からは、文化プログラムに関して、まず伺いたいと思います。
 東京二〇二〇大会まであと二年弱、六百四日となりました。いうまでもなく大会の成功には、開会までに単にスポーツの祭典だけではなく、文化の祭典としてもしっかりと都民の機運が醸成されることが必要です。
 二〇二〇年に向けては、世界のトップアスリートが集うオリンピック競技、障害を乗り越えた人間の可能性を示してくれるパラリンピック競技を中心に、子供から高齢者までが参加できる市民参加型や地域密着型のスポーツイベントなど、スポーツの普及を図るとともに、同時に、文化プログラムの展開によって、ロンドン二〇一二大会のフェスティバルと同様に、単に国内外のすぐれた芸術作品やアーティストの紹介をするだけではなくて、地域の課題に向き合うアートプロジェクトや、地域に密着した文化事業、参加型のアートイベントなど、さまざまな取り組みを行っていくと聞いています。
 先月、私も浜離宮恩賜庭園で開催された東京大茶会に参加してきました。当日は天気もよくて、外国人も含めて多くの人が訪れており、会場の雰囲気、大変盛り上がっていたと思います。
 都はこれまでも、この東京大茶会を初め、六本木アートナイトなど多くの文化プログラムを実施してきており、最近では目にする機会も多くなりました。
 そこでまず、現状の取り組みがどうなっているのか、伺っておきたいと思います。

○堀越魅力発信プロジェクト担当部長

 都では、従来から行っている都立文化施設における展覧会、公演に加え、二〇二〇年に向けて推進してきた東京キャラバン、TURNなど、多様な事業をTokyo Tokyo FESTIVALとして着実に実施しています。
 その上で、東京都交響楽団によるサラダ音楽祭や、都民が日ごろの文化活動を発表する都民パフォーマーズコーナーなどの新たな取り組みも始めています。
 また、Tokyo Tokyo FESTIVALの中核事業の一つである企画公募事業では、斬新で独創的な企画や多くの人々が参加できる企画のアイデアを本年二月に広く募集をしたところ、国内外から二千四百三十六件の応募があり、八月に十三件を選定いたしました。現在、事業の具体化に向け準備を進めているところでございます。

2.文化プログラム認知度向上のための取り組みについて

○菅野委員

 従来からの既存事業だけではなく、新たな取り組みも積極的に展開しているということをお聞きしました。
 このような取り組みを推進し、二〇二〇年には最高潮になるように、ぜひ盛り上げていただきたいと思います。
 そして、そのためには、より多くの方々にこうした事業を知ってもらって、参加してもらうことが何よりも重要だと思いますが、現時点においてはまだまだ十分に認知されているというところまでは行っていないと感じます。
 そこで、文化プログラムの認知度をさらに向上させるために、どのような取り組みを行っていくのかを伺いたいと思います。

○堀越魅力発信プロジェクト担当部長

 都は、都が実施する文化プログラムをTokyo Tokyo FESTIVALと銘打ち展開するとともに、プロモーションも積極的に行い、認知度の向上を図っています。
 今月九日には、プロモーションイベント第一弾を羽田空港内で実施し、これまで展開してきた文化事業の紹介に加え、これから実施が予定されている象徴的な文化事業の一つでありますオペラ夏の祭典についても紹介を行いました。
 また、イベントのゲストには、歌舞伎俳優の市川海老蔵氏を迎え、歌舞伎の舞を披露いただくなど、イベントに花を添えていただきました。
 会場では事前申し込みの来場者に加え、居合わせた空港利用者も足をとめて観覧するなど盛況となったほか、イベントの模様は新聞、テレビ、ウエブ系ニュースなど多くのメディアで紹介され、大きなPR効果を得たところでございます。
 今後もオリンピック・パラリンピック開催に向けた節目のタイミングなどを中心に、プロモーションイベントを実施する予定でございます。
 加えまして、これまで文化に触れてこなかった都民や、訪日外国人に対しても、さまざまな媒体を活用した効果的な広報を展開してまいります。

3.都民の芸術文化に触れる機会を増やすための取り組みについて

○菅野委員

 この九日のプロモーションイベントですが、私も実は行きたかったんですけれども、ちょっと委員会が午後あったので間に合わないかなと思ったら、うちの会派のほかの委員は何とか間に合ったということで、行ってきたということで、大変いい企画だったということと、今お話があったように、多くの方がそれをごらんになったり、そういった機会を確認して、非常にそういうことが知られたんじゃないかなと、非常にPR効果があったんじゃないかというような感想を聞いております。
 こうした取り組みの効果によって、より広く文化プログラムが浸透し、多くの方々に今後参加してもらうということが重要です。
 さらに、この文化プログラムは、それだけで終わることなく、レガシーとして二〇二〇年以降にしっかりと継承していくことが最も重要と考えます。
 大会後のレガシーには、人材の育成や地域の活性化など、さまざまなことがあると思いますが、私は、都民の芸術文化に触れる機会がふえ、都民の中に芸術文化が息づいていくことこそが大切だと思います。
 そこで、文化プログラムを通じたレガシーとして、都民の芸術文化に触れる機会をふやしていくため、どのように取り組んでいくのか、伺いたいと思います。

○堀越魅力発信プロジェクト担当部長

 二〇二〇年に向けましては、新たな取り組みを初め、多くの注目を集める大規模なプログラムをより効果的に展開し、東京二〇二〇大会のさらなる盛り上げにつなげていく必要があると考えています。
 あわせて、大規模な事業だけでなく、都民自身が主役になれる都民パフォーマーズコーナーやTokyo Tokyo FESTIVAL助成のうち、都民が企画運営を行う芸術文化活動などに支援する市民創造文化活動支援など、誰もが文化プログラムに参加できる機会を積極的に提供してまいります。
 これらの取り組みを進めることにより、東京二〇二〇大会を契機に、都民の文化に対する関心を高め、芸術文化活動を根づかせて、二〇二〇年以降のレガシーとしていきます。

■ボランティアの機運醸成について

1.ボランティア機運醸成に向けた都の取り組みについて

○菅野委員

 東京の芸術文化活動が二〇二〇年大会を契機に、より盛んになり、そのレガシーがしっかりと後世に継承され、芸術文化の魅力であふれる都市東京を実現するよう、今後もしっかりと取り組んでいってもらうことを要望して、次の質問に移りたいと思います。
 次に、ボランティア機運醸成について伺います。
 現在、東京二〇二〇大会関連ボランティアの募集が九月からスタートしており、十二月二十一日の締め切りに向けて応募が続いている状況ですが、予定の十一万人が確保できるよう期待をしています。
 都はこれまでも、東京にボランティア文化を定着させるため、共助社会づくりを進めるための東京都指針を制定し、さまざまな施策を進めてきています。
 さらには、大会関連ボランティアへの応募を機に、ボランティアへの関心が少しずつ高まってきているようですが、この機を捉え、将来にわたりボランティアを文化として定着させていくためにも、これからも都民に対して、日ごろからボランティア活動に参加してもらえるような機運の一層の盛り上げが必要です。
 そのために、ボランティア活動には気軽に参加できることをわかりやすく伝えるなど、日ごろから都民がボランティア活動に親しみやすい環境づくりが必要です。
 また、ボランティア文化の定着に向けては、生活文化局とオリンピック・パラリンピック準備局が連携し、日ごろからボランティア活動に参加している都民に対して、大会関連ボランティアへの関心をより高める取り組みも有効だと思います。
 そこで、ボランティア機運醸成に向けた、現在の都の取り組みを伺います。

○山本都民生活部長

 都は、東京二〇二〇大会を機に、ボランティア文化の定着を図るため、共助社会づくりを進めるための東京都指針を策定し、機運醸成に取り組んでおります。
 都が行った実態調査によれば、約半数の都民がボランティア活動への関心を持つ一方で、活動に参加しなかった理由として、時間的余裕がないことを挙げている回答が多くなっております。
 また、活動に参加したきっかけとしては、学校、家族、知人、職場等を挙げている回答が多くなってございます。
 このため、都は、ボランティア活動に関心を持ってもらうとともに、時間がない方でも短時間で気軽にできるボランティア活動をちょいボラとしてPRする取り組みを実施しております。
 この中では、文化、スポーツイベントと連携したPR活動を展開するとともに、専用サイトや動画等を活用して、ちょいボラをボランティア活動に関心が薄い層にも発信しております。
 また、企業、大学におけるボランティア活動に関する取り組みを推進していくために、活動内容や取り組みを進めていく上での工夫等を紹介する事例集を作成し、広く普及に努めてございます。

2.生活文化局の協力内容について

○菅野委員

 そのちょいボラの取り組みは、時間がない人にも本当に気軽に、まずはボランティアに参加してみましょうというような意味で、大変よかったのかなと思います。
 そして、やはりボランティア文化の定着を図る上では、そういうのをきっかけに、また、口づてにでも、また多くの人に関心を持ってもらうということが重要だと思います。
 そこで、今回、大会関連ボランティア募集への関心を高めるために、これまで生活文化局の協力が何かなされていたとすれば、それを伺いたいと思います。

○山本都民生活部長

 大会ボランティアの募集への協力とともに、ボランティア文化の定着を図るという趣旨から、大会関連ボランティアにも関心を持っていただくことは重要だと考えております。機運醸成の機会を通じて、大会関連ボランティアに関する情報提供を行っているところでございます。
 ちょいボラのPRでは、ちょいボラを周知するチラシの中で、大会関連ボランティアの概要についてもあわせて掲載し、文化、スポーツイベントと連携したPR活動の際に広く配布をしております。
 また、大会に向けて、東京全体でおもてなしを実現するために育成を開始した外国人おもてなし語学ボランティアについては、登録者約三万八千人に対して、大会関連ボランティアの募集情報をメール等で配信するとともに、登録者向けのセミナーにおいても大会関連ボランティアの募集についてアナウンスとチラシの配布を行ってございます。
 さらに、先月十六日には、ボランティアをテーマとした知事と語る東京フォーラムを開催し、大会関連ボランティアの魅力等について情報発信を行い、オリンピック・パラリンピック準備局が会場で都市ボランティアの応募受け付けを行ったところでございます。
 今後とも、オリンピック・パラリンピック準備局と連携を図りながら、大会関連ボランティアへの関心を高める取り組みを推進してまいります。

■地域の課題解決プロボノプロジェクトについて

1.プロボノプロジェクトの目的とその内容について

○菅野委員

 ボランティア活動は、こうしたオリンピック・パラリンピックでのおもてなしから、被災地の支援や町会、自治会などでの地域の支え合いなど、多岐につながってくると思います。
 大会関連ボランティアの活動などを契機として、東京ボランティア文化の定着が一層進むことを願い、次の質問に移ります。
 次に、地域の課題解決プロボノプロジェクトについて伺います。
 都はこれまでも、地域の底力発展事業助成を初め、地域活動の担い手である町会、自治会が取り組む事業等への支援に取り組まれています。
 しかし、一方で、多くの町会、自治会は、加入率の低下や役員の高齢化などにより、活動の活性化や担い手の確保が課題となっています。
 そこで、都は、町会、自治会が抱える運営上のさまざまな課題解決に向けて、平成二十九年度からボランティアであるプロボノによる町会、自治会支援をスタートしています。
 私は以前から、町会活動のPRのための、例えばウエブサイトの構築支援など、企業の社員などが自身の経験やスキルを使って、ボランティアとして町会、自治会の支援を行うプロボノには期待をしていたところであります。
 そこで改めて、プロボノプロジェクトの目的とその内容を伺いたいと思います。

○山本都民生活部長

 企業の社員等が仕事で培った経験やスキルを活用して行うボランティア活動であるプロボノは、一般的にはNPO等の運営支援として活用されてまいりましたが、都は、活動の担い手等の人材不足により、地域の課題解決に踏み出せない町会、自治会を支援するため、平成二十九年度よりプロボノを活用した地域の課題解決プロボノプロジェクトを実施しております。
 本事業では、数名のボランティアから成るプロボノチームが約四カ月にわたり、休日等に町会、自治会に出向く等により、意見交換などを行って、このプロボノチームが課題の解決策を提案、実施するものでございます。

2.今後の事業展開について

○菅野委員

 約四カ月にわたるプロボノチームの活動があったということですが、これまでのその取り組みの成果、そして今後の事業展開について伺いたいと思います。

○山本都民生活部長

 昨年度は、八つの町会、自治会に対してプロボノによる支援を行ったところでございます。
 具体的には、町会の活動情報や町会への加入方法等を掲載したホームページの作成やSNSを活用して地域イベント等を紹介する取り組みを行ったところでございます。このほか、住民ニーズを把握するための住民アンケート調査の設計、実施等を行ったところでございます。
 支援を受けた町会、自治会からは、SNSが使えるようになって若い世代の加入に期待が持てるようになった、また、ボランティアと話す中で新たな気づきを得ることができたなど、好評をいただいているところでございます。
 今年度は、ボランティアが主体となって課題解決策の実施等を行う昨年度の方式に加えまして、町会、自治会からのニーズも踏まえて、課題解決に主体的に取り組む町会、自治会をボランティアがそのスキルを活用して継続的にアドバイス等を行う側面支援による方式を新たに設定し、あわせて支援団体数も増加させたところでございます。
 今後とも、プロボノプロジェクトにより、支援を通じて、町会、自治会活動の課題解決につながる積極的な取り組みをサポートしてまいります。

○菅野委員

 実際利用された町会、自治会等からも、かなりいい評価を得ているということもお話がございました。
 そういった中で、プロボノ自体はまだ始まったばかりということもありますけれども、まだまだこれも認知度が十分ではないのかなと思います。
 そして、今後、ぜひこのプロボノの取り組みを一層広げていただいて、町会、自治会の活性化や課題解決にさらに貢献されることを期待して、質問を終わりたいと思います。

【都議会リポート】
https://www.gikai.metro.tokyo.jp/record/educational/2018-16.html